なんかふっと外に出たまま探さないで下さいなどと言いながら何処かに行きたくなる。
何故ならば自宅にはどこにも、自室であったとしても頭を冷やせる場所がないからである。
そして車の中にこもって暖房か冷房を全開にして、クラシックをかけてこのまま何処か遠くにいきたくなる。車の中に引きこもりながら。
今は車もフルスモークにできないのでプライバシーなんてないようなものだが、世が許していたら単に車の中に引きこもるという理由で、
バリバリにフルスモークにでもしていたかもしれない。それくらいに一人きりになれる場所が欲しい。
自分の感覚過敏に悩まされない場所はない。学校とかの防音室のような感じで音のない、周りの刺激もない空間が無性に欲しくなる。
一人暮らしをしていた頃は、誰も呼びたくもなかったし誰も来てほしくなかったから、そのように自宅をフルチューンしていたが、
実家に帰ってから大体人がいる時間ばかりなので気の休まる時間がめっきり少なくなった。
五感で誰かを意識するとなると、どうしても家族の存在が引っ掛かってくる。
全部自分で責任を取るし、何なら生活保護とかになってもいいから、
とにかく一人に、落ち着ける場所をくれという、自己の心の叫びを日々聴きながら過ごしている。
誰かの気配がするうちはカームダウンとは言えない。急に戸を叩かれたり、何かで呼ばれたりするからである。
予定を自分で決められるならまだしも、誰かの都合を勝手に押し込まれるようでは、心の安定からは程遠い、と断言せざるを得ない。
誠に遺憾である。
最近は公共施設でも感覚過敏の人が一人入ることのできる、感覚が遮断された狭い部屋(狭いことが重要である)が増えてきたが、
残念ながら家庭というのはそういう感覚過敏の人間に配慮された個室、というものはない。
静かにしていれば勝手に扉を叩かれるし、今日の夕食も食べないで済まされない。
私などは徹底的にシングル主義なので誰も呼んだり呼ばれたりせず、ある程度空間をシェアしただけで個別個別に時間を過ごしたいものだが、
そんな事を言えば家族とか集団のルールがどうだとか言い始める人が後をたたないので、
おそらく家族がいるうちは私の理念が満たされる事はないだろう。血縁をなくすことは制度上出来ないからである。
五感と人間関係を遮断したカームダウンできる部屋があるなら仕事以外はそこに一生居てもいい。
私にとって山奥にこもるとは、上のような条件を可能な限り満たせる空論的な理想の空間である。
ただしエアコンはないと物理的に死ぬ。
なんかクラファンとかで「人間嫌いだけを集めたある程度集合してインフラだけを整備して、意図的に集団では何もしない空間を作りませんか」
などという、訳の分からない意味不明な事をしたら一体どれだけお金が集まらないのだろう、とは気になる。
誠に遺憾である。