五月になったのに五月だという気がしない。
五月病とか嘘のような話である。
ちょっと世の中に目を向ければ、五月病どころではない話がゴロゴロ転がっている。
しかし現実にやることといえばほとんど五月病まがいの行為である。
何もしたくないというか、何もできないというべきか。
外はすっかり春めいて緑も鮮やかになってきましたが、それどころではない。
窓の外を眺めながら、ああ、緑がきれいですね、と言うしかない。
あくまで眺めるものである。
連休という言葉の響きもあくまで形骸的なものである。
今年ほど虚しい連休はないだろう。少なくとも自分が生きてきた中では一番虚しい。
別に何をするでもなく実家に帰省して家の中でぐうたらすることもできた。
今年はそれすらできそうにない。
ただ一人で心を強く保ちながら時間が過ぎていくのを眺めるだけである。
そんな覚悟をしなければならない。