劇的に症状が良くなるようなものはなく、波のちょっと高いところにいるようなものである。
身体が無事であるという時期はとうに過ぎ去り、無事でないところをごまかしながら、
低い波をなんとか乗り越えていって、いずれやってくる、
どうあがいてもどうにもならない高波が来るのを地道に待っているようなものである。
思えば子供の時から死に震えなかったことがない。
夜になって寝床に潜り込むと、人生の仄暗いものが脳を震えさせる。
それは死そのものだったり、オウムやチェルノブイリのような外からの出来事だったり、
潔癖症だったり自責の念のような内側から来るものだったり、
とにかく安心して離れられた試しがない。
そして何かにかぶれたのか太宰治や芥川龍之介に手を出すようになってますます拗らせた。
そうやって何かをごまかしながら今までやってきた。
今まで精神的に死にかけていたのが、身体にも不調が出る事によって、
心身共に両立して徐々に死に至りかけるようになってくるのは、必然というか何というべきか。
希望とは一体何であろうか。パンドラの匣の最後に残る以外意義のないものであろうか。