人の気持ちがわかるようになるとは | 隠者の庵

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自閉症スペクトラム(広汎性発達障碍)当事者が気ままに壁打ちで文章を書き連ねます。
あと趣味についても適当に書き連ねます。何故か見た夢も記述します。

正直、前に書いたようなオキシトシンのような新薬が出て実際に症状が改善されたとして、
自閉スペクトラムの当事者が「共感性や空気を読むような能力」を身につける素地ができたとして、
それを育てるのは一体誰なのか。どうやって育てるのか。
社会性というのは、自然に、感覚的に学習できるものではないと思う。

自閉スペクトラムのようなコミュニケーションに障碍がある状態とは、
生きている内に衰えたものではなく、最初からないものである。
身体障碍者で言えば手や足が事故で失われたのではなく、
最初からないような状態である。
症状の改善とは、ないものに付け足すような感じになるだろうと思うので、
そもそも未知のエリアである。
体験したことがないことを体験しなければならないのである。
人の気持ちがわかりにくい人間はどうやって人の気持ちをわかるようになるのか。
いくらよい薬ができても感覚的なものをきちんと教える人間がいない限り、
ちゃんとした感性は身につきにくいものだろうと考える。
どれだけ薬がよいものであっても、使う環境がよろしくなければ、
新しい枠ができても変なものしか入らないだろう。
人は生きる限り教育されるものだと思うのだが、教育は自力だけで行えるものではない。
周囲の助力があって初めて完成するのだと思う。

薬ができればそれで問題が片付く、などと自分は思わない。
解決はしてほしいが、薬と教育の両方がなければ、どうしようもない問題だと思っている。
人の心、こればっかりは服用するだけで片がつく問題だとは到底思えないのである。