金正男氏暗殺の手段に用いられたのはVXガスである、とマレーシア警察が断定した。
もうVXなんて過去の記憶に埋まって二度と掘り起こされないものだと思っていましたよ。
ちょうどあれはオウム真理教があれこれきな臭く動いていたころだろうか。
当時オウムに対する活動をやっていた小林よしのり氏が暗殺されかけたときとか、
そういう時に名前が出てきたものであると記憶している。
毒ガスで言えば、地下鉄サリン事件のほうが結果的に最大規模のものとなってしまいましたが。
ただその単語はもうその時の一時的盛況で、もう二度と出るはずのない、
いや出てほしくない単語だった。
それが長い時を経て、結局要人の暗殺に使われる道具として名前を聞く羽目になるとは、
時代とはこうも変わらないものなのか、という思いを強くする。
銃弾や武器が使えない以上、科学的な薬品で人間を何とかするという流れは、
ある意味当然の帰結なのだろうと思うが、
そんな当然は要らない。
人を一人いなかったことにしてまで得られる利益とは何か、と考えると、
人間の業が本当に深くなるようにしか思えないので困る。
わが身に置いて考えると、自分がいなくなることによって安心するような、または利益が得られるような、
そんな俗物的な構造が微塵もないことに安心する。
つまり私怨のみが恐ろしいものである。
…独裁者の私怨というものほど空恐ろしいものはないと感じた今日この頃。
何が起こるのかわからないと、おちおち枕を高くして眠れない。
誠に遺憾である。