本日発売のFACTA「日大連載」11回目。

 

「日本大学アメリカンフットボール部薬物事件に係わる第三者委員会」、略称「第三者委員会」の10月30日付報告書がさる31日に公表され、日大の大麻汚職問題がますます沸騰している。元名古屋高等裁判所長官の綿引万里子ほか3人の弁護士によって構成された第三者委員会は、文部科学省高等教育局長から委嘱され、その名の通り、薬物事件における日大の対処を厳しく追及した。

くだんの第三者委員会の報告をごく簡単にまとめると、日大の大麻事件は以下のような経緯をたどっている。

まず昨秋、アメフト部に大麻情報がもたらされ、11月27日には部員が大麻使用を自白した。ここでアメフト部指導陣による第一の隠蔽がなされる。

元アメフト部監督で現・文理学部事務局次長の高橋宏明が、部員の大麻使用自白に基づいて同期の日大OBの警視庁警視に相談する。このとき高橋は旧知の警視から、所轄の成城警察署に相談するよう、指示されていた。にもかかわらず、その言葉尻をとらえて「薬物事件としての立件は難しい」と都合よく解釈し、他のアメフト部監督らと計らい、厳重注意で済ます。12月1日午後、それを競技スポーツ部長の井上由大に報告して事件の蓋を閉じた。

次が同じ12月1日の午前中だ。警視庁組織対策部薬物銃器対策係官2人が日大を訪れ、警視庁ホットラインで取得した日大アメフト部の大麻使用情報を副学長の澤田康弘と競技スポーツ部長の井上に伝える。このとき日大は警視庁側に大麻使用の自白などを伝えず、やり過ごしている。一方、警視庁側は「薬物乱用防止講習会」の開催を提案、学長の酒井建夫の了承の下、12月10日に講習会を実施した。これが2番目の隠ぺいだ。

そして今夏、ついに大麻事件が発覚する。6月30日、警視庁が副学長の澤田のもとを訪ねて大麻情報を伝え、学長酒井の了解の下、日大執行部がしぶしぶ調査に乗り出した。結果、副学長の澤田と競技スポーツ部の井上が調査の中心となり、7月6日、アメフト部の寮で大麻と覚せい剤を発見する。澤田は12日まで部員のヒアリングを続け、13日、理事長の林真理子にも大麻の写真などを見せた。ここで理事長の林も事態を知ったことになる。だが、澤田は12日間も発見された薬物を保管したまま、日大執行部はそろって事件を隠蔽する。矮小化しようとする意図が明らかであり、8月2日、理事長林のぶら下がり会見で違法薬物の発見そのものを否定した。

8月8日の記者会見で炎上し、それ以降、日大執行部の隠ぺい体質が次々と明るみに出る。やがて大学執行部の仲間割れが始まり、理事長の林が学長の酒井や副学長の澤田に辞任を迫るようになる――。(以下略)

 

 報告書にはなかった視点もあります。