活字マニア
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塩の街―wish on my precious

[出版情報]

電撃文庫。578円。

有川 浩(著)


第10回電撃小説大賞受賞作。


[内容]

塩が世界を埋め尽くしていた。

塩は街を飲み込み、世界を崩壊させようとしていた。

その崩壊寸前の東京で暮らす男(秋庭)と少女(真奈)。

二人の前に「世界とか、救ってみたいと思わない?」と現れた男。

果たして世界は救われるのか。

そして真奈の想いは秋庭に届くのか。


[評]

始めはこの世界に生きる人々の短編集?と思うような作りだったのですが、

読み進めるうちに二人の主人公の気持ちが徐々に明確になっていきます。

女の子の立場から読むと(秋庭、女の子の望むヒーロー像すぎ…)と思っていたら

案の定、作者は女性の方でした(あとがきを読めばわかります)

PNからして男性っぽいのですが、作品はやっぱり女の人な感じです。

世界観はけっこうハードですが。

読後感は柔らかい気持ちになれる一冊です。

王妃 マリー・アントワネット

[出版情報]

新潮文庫。上巻(税込:620円)下巻(税込:580円)

遠藤 周作(著)


[内容]

フランス王妃マリー・アントワネットのその波乱に満ちた生涯と

どこか王妃に似た面影を持つ貧民マルグリットから見た当時のフランスの模様を描く。

交互に話しが進むにつれ、相互に関係もしてきます。


[評]

王族から見たフランスと、市民から見たフランスを同時に読み進めることにより

フランス革命がいかにして起こったか、それぞれの心情豊かに読むことができます。

史実に基づきつつ、かつ物語性の強い作品になっており、

マリー・アントワネットに興味のある人もない人も楽しく読むことができる一冊。

マリー・アントワネットと言えば、その華やかな生活や、

有名すぎるほど有名な軽々しい言動がとりあげられることの多い人物ですが

処刑される前の部分などを読むと、その信念の強さを子を思う気持ちに衝たれます。


ルカ - 楽園の囚われ人たち

[出版情報]

電撃文庫。536円。

七飯 宏隆(著)


第11回電撃小説大賞受賞作。

ちなみに受賞時のタイトルはまったく別でした。

※作者があとがきでも触れているが、すでに触れてほしくない過去の汚点となっている模様。

 調べてみたい人は調べてみてください。ちなみに私は調べました。

 変更を勧めた編集者さんの英断に拍手(笑)


[内容]

世界最後の人類となってしまった『まゆ』

まゆの可愛がっている飼い犬の『トッピー』

そしてまゆの5人の家族たち。

機械たちに囲まれた閉鎖された空間の中で、そんな彼らを見守る一つの存在。

彼等は何処から来て、そして何処へ行こうとしているのか。


[評]

暗くなりがちなテーマを新しい視点で、微妙なほのぼの感を出しつつ書いています。

大賞をとっただけはあり、視点・言葉の選び方で見るべきものがあります。

電撃文庫はエンターテイメント性の高い作品が多いので、

「漫画は好きだけど、小説はちょっと苦手…」という方にもおもしろく読めてオススメです。

わりと軽く読める一冊。

活字マニアのできるまで。

近年、若者の活字離れが問題となっているそうですが、
そもそも「活字」とは何なのでしょうか?

goo辞書で引いてみたところ(以下、引用)

[活字]:(1)活版印刷や和文タイプに用いる字型。
    活版用は鉛合金を、タイプ用は亜鉛合金を用いて方形柱状に作り、
    その頂面に文字類を左右逆に浮き彫りにしたもの。
    古くは陶土・木材などを材料としたが、
    1445年頃グーテンベルクが鉛合金の活字を考案し、実用化した。
    大きさを表すのに、日本ではポイントと号数を用いる。
    また、和文・欧文とも種々の書体がある。

とありました。
ちょっとわかりにくいですね…。
それでは、それを用いた本、というのはどんなものなのか。

[活字本]:活字を用いて印刷した書物。活版本。
     写本や木版本と区別する時にいう。

今時はあまり写本や木版本といのは少ないと思いますが。
専ら当てはまるものはこれでしょう。

[活字メディア]:新聞・雑誌・書籍など文字を用いたメディア。

わかりやすいですね。
かなり大雑把なくくりのような気もいたしますが…。

でも、文字を用いたメディアで考えれば今の若者だって、
活字を読んでますよね。

新聞はともかく(?)
雑誌、まったく読んでないっていう人は少ないんじゃないでしょうか。
テキストの多少はこの際、置いておきましょう。
書籍、これだって人によるけれども、
ベストセラーだ映画化だって騒がれている昨今、
読んでいるのが年配の方だけってことはないでしょう。

「若者は活字をキラウ」って臆面もなく言えちゃうような人は
「活字=純文学」って思い込んでいるのではないでしょうか?
文学の定義だって、変わってきているというのに…。

長々と前置きしましたが、
ココ「活字マニア」では、
小説でも漫画でも純文学でもともかく文字さえあればなんでもいいや。
という節操のない私が
これまた節操なく読み漁った本の紹介をしていきたいと思います。

更新は本を読み終わった都度になりますので
不定期になると思いますが、よろしくお付き合いください。