出張が続いたので、晴れの日はとても貴重です。さっそく愛馬を駆って外出です。
私の場合、行き先はその季節の旬の物を求めます。
ということで、菖蒲を見に行こうとしたところ、まだ早いそうでしたのでバラに変更です。クレマチスも見られるはずです。

丘全体に5000本以上のバラが咲き誇っており、ちょうど良いタイミングでした。そこら中がバラとハーブ類の香りで溢れています。

バラ以外のクレマチスや、色とりどりの花が咲きそろって、見事です。宮崎アニメの「借り暮らしのアリエッティー」に登場するそうな雰囲気です。

私はバラのような派手な物より、ひっそりと咲いているような下草が好きですから、どうしても足元を見てしまいます。小さくて派手ではありませんが、綺麗な色の可愛い花草が色々あるものです。
この場所が一番人気のようで、記念撮影をしている人たちが並んでいました。

離れた場所には世界最大だと言われる8畳サイズの松の盆栽があります。天気が良いので海の色が綺麗でした。
今回はバラの鑑賞以外にもうひとつの目的がありました。
実は、この近くに以前から気になっていた古いお屋敷があります。大正時代から昭和にかけて当時の大富豪や文化人に愛された邸宅です。
中を見ることが出来ると言うので、お邪魔することにしたのです。

太宰治も滞在したことがあると言う大きな日本間は土壁が紫色で、独特の雰囲気です。
欄間や風通し用の窓は曇りガラスをはめ込んだスライド式で、とても凝った造りでした。
障子も普通の木の格子ではなく、わざと竹の節を使っています。

そのため、障子紙の張り替えはかなり面倒だそうです。
日本間から日本庭園を眺めると、気になる洋風建築がありました。ガラス張りの温室のような建物でした。そちらも見せていただけるということで、中に入ります。

外からだと単なるガラス張りに見えましたが、中から見るとアールデコ調の美しいステンドグラスになっています。

床に施されたのは京都の陶芸家が、この建築のために焼いたカラフルなタイルです。陽の光が射し込むと、キラキラ輝いて、まさにサンルームに相応しいタイルです。
数多くの著名人が歩いたことでしょうが、その輝きは今も健在です。

窓から外を覗けば広大な山水の日本庭園が広がっています。
庭の中に大自然を再現する庭園造りは人工的な欧米のものと異なり、安らぎます。

重厚な応接間の暖炉の上にはインド風の彫刻です。もちろん本物のアンティークです。
ここの住人は自分で美術館を作ってしまうほどの審美眼を持っていました。

複雑なステンドグラスも、よくあるステッカータイプではなく、もちろん本物。
細かい溶接が必要です。
この応接間の反対側にはもう一つアジア風のサンルームがあるそうでした。先ほどの洋風サンルームと対をなしています。
デザインは和柄を想像させる文様。欄間も木の格子です。

床のタイルも洋風とは違い、落ち着いた雷文様です。これは個人的にお気に入りです。

後から増設されたローマ風風呂です。来客のことも考えられた大きな浴室でした。
こんなお風呂だと毎日でも入りたくなってしまいます。

どこかでゆっくりと温泉にでも浸かってから帰りたいところでしたが、渋滞が嫌いなので帰りました。
しかし、今考えると、渋滞が収まるまでゆっくりしているのも良いと思います。次回はそうしようかな。