「アーティスト」

2011年度のアカデミー賞では、巨額の制作費やCG技術を駆使した他作品をおさえて、見事アカデミー賞5部門を受賞した作品です。しかも最近の映画とは異なりサイレント映画なのです。
時代は20世紀初頭のハリウッドですから、サイレント映画の時代から音声入りのトーキー映画へ移行する時期が舞台です。
この時代のダンス界の大スターと言えばフレッド・アステアです。
「アーティスト」に登場するファッション、建築、車などはこの時代そのものです。
主演俳優はクラーク・ゲーブル似のハンサムですが、映画全体の雰囲気は似ています。
アステア&ロジャース

ストーリー(あらすじby映画.com)
2011年・第64回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した白黒&サイレントのラブストーリー。舞台は1927年のハリウッド。スター俳優のジョージ・バレンタインは若い端役女優のペピー・ミラーを見初めてスターへと導くが、折しも映画産業は無声からトーキーのへの移行期。無声映画に固執し続けるジョージが落ちぶれていく一方で、ペピーはスターダムを駆け上がっていく。監督は06年の第19回東京国際映画祭グランプリ受賞作「OSS 117 私を愛したカフェオーレ」のミシェル・アザナビシウス。第84回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞ほか5部門を受賞。フランス映画として初の米アカデミー作品賞受賞作となった。

ストーリーの展開の仕方や、映像のアイディア、感情表現など、どれもが素晴らしくて息をのみます。
脇役のワンちゃんがこれまた賢くて可愛いのです。
この画像のシーンは恋する男性に抱かれることを想像するシーンですが、オシャレで、携帯の待ち受け画像にしようかと思うほどです。
しかも、サイレント映画ですから、映画館内に聞こえるのは、映像に合わせた時代の音楽のみです。
会話も無ければ、派手な効果音も一切ありません。
私の映画の歴史上、もっとも静かに鑑賞した映画の一つです。
飲食物を飲み込む音にも気を遣い、感動するシーンでは観客が鼻をすすったり、息をのむ音まで聞こえてくるほどでした。
帰宅してから、ブログを書きながら当時のダンス映画を検索すると、出て来る出て来る。
学生時代にはNHKのお正月映画特集くらいでしか見ることが出来なかった素敵なダンスシーンがたくさんありました。これはとてもありがたいことです。
当時はビデオに録画して、ダンスのステップを真似したものです。
やはり今見ても一流です。「アーティスト」の比ではありません。
エレガントで品があります。
私の周りには、「外国人みたいにエロく踊るのが格好良い」と勘違いしている自称ダンス愛好家がたくさんいますが、見せてやりたいですね。そもそも外国人に失礼です。
エロスと下品は違います。文化の違う日本人が形だけを真似するのは下品な猿真似にしか見えません。
それはともかく、見ていると楽しく、元気になって来ますから、これらを見ているだけでしばらくは楽しめそうです。