先日千葉をバイクで走ったところ、ススキが狐の尾のように見事にたなびいていました。そこで、そろそろ箱根のススキも見頃だと思い、平日の休みを利用してチョイ走りして来ました。
ところが、予想に反し、箱根は千葉より暖かだったようです。メッシュのジャケットで走ってちょうどいい陽気でしたので、やはり今年は暖かです。山の木々もまだ青々としており、紅葉の気配がありません。
ススキはようやく色づき始めた感じで、有名な仙石原のススキ群生地も白と緑のまだら状態でしたが、観光客はそこそこ来ていました。
せっかく来たので、そのまま帰るのはもったいないです。夜には他の予定がありましたが、まだ時間があるので、近くの美術館で開催されているアンリ・ルソー展を見ることにしました。
この美術館へ至る山道は斜面の青い苔と、木々からなる緑のトンネルでとても好きなコースです。美術館は大型の強化ガラスを多用した立体的な建築で、見ごたえがあります。しかし、余計なお世話ですが、地震や真夏の陽射しが心配ですね。
ルソーは独学で絵を学んだので、既成の概念に捉われない自由で素朴な作品を残しました。素朴派とも呼ばれますが、今風の言葉で言うと「ヘタウマ」です。当時も、絵の描き方を知らないとか、構図がメチャメチャ、遠近法やデッサンも知らない、子供みたいな絵、などと散々批評されました。
写真のような、きちんとした西洋絵画に慣れ親しんで来た美術関係者には異端だったのです。ところが、そういう既成の概念に捉われない、新しい画風を模索していた革新的な芸術家たちは、その価値に気付きました。
ルソーの作品は単なる写実ではなく、そこに自分の想像力や、感情を表現していました。ですから、気分次第で色彩や風景の構図は変えてしまいます。ジャングル系の作品は有名ですが、実際の彼自身はフランスから出たことが無く、全ては温室の熱帯植物を見て、創造した心象風景なのです。
今回はジャングル系の大作の展示はありませんが、ルソーの存在意義と面白さがわかります。

