60年代サブカルチャーの証言誌「キネマ旬報 サイケ・アングラ特集」
1960年代のサブカルチャーに関心を寄せる人は多いと思う。
今の時代にも影響を与え続けている偉大な表現者たち、今では巨匠といわれ、あるいは歴史的存在にもなっている表現者達が、その表現活動をスタートさせたのが1960年代だからだ。
当時の彼らは二十代か三十そこそこぐらいで、まだスタート地点にたったばかりで、未知数だった。それだけにさまざまな可能性を秘め、パワフルでキラキラしていた。
社会的には70年安保を控え、熱い政治の季節のまっただ中にあった。
そんな中でサブカルチャーも状況に無縁でいられるはずもなく、「反体制」を掲げる表現者も多かった。今では「反体制」という言葉は、ほぼ死語に近いが。
彼らの表現活動は、時代や状況としっかり斬り結んでいた。
もっとも、60年代と大雑把に言ってしまうが、すくなくともサブカルチャーの面で60年代を語ろうとするなら、67~69年くらいがピークだったのだろうと思う。
60年代を代表するような作品は、ほぼこの時期、特に1968年に集中して発表されている。
寺山修司、唐十郎、横尾忠則といった、60年代を代表するような表現者たちは、その数年前から活動を開始しているが、本格的な活躍をするのは68年前後からなのである。
そしてこの1968年という年を象徴するかのように、キネマ旬報より三冊のサイケ・アングラ特集号が発行されている。
サイケ・アングラというのは、当時のサブカルチャーの代名詞である。
ぼくは何年か前に、あるデパートの古本市でこの雑誌を手に入れることが出来た。
まさに熱い時代のまっ只中で作られたサイケ・アングラ特集号である。
当時の熱気を伝えているはずである。
何十年もたってから、懐古的に語られる60年代ではなく、また我々のような60年代に遅れすぎた世代が羨望の眼差しをもって語る60年代ではなく、60年代サブカルチャーの内側からのリアルな声が聞けるはずである。
そんな期待をこめてこの本を手にしたのだった。
(次回、本の紹介をさせていただきます 笑)