夢日記「アンダルシアの犬」
左の掌がむず痒いので何気なく見てみると、真ん中へんに穴があいて、そこから数匹の蟻が這い出している。
蟻はあとからあとから這い出してくる。
アンダルシアの犬だ。
思わずそう呟いている。
[アンダルシアの犬]というのは、画家のダリと映画作家のブニュエルが若い頃共同で作った前衛映画で、シュールレアリズム映画の傑作と言われている。その中にこんなシーンがあるのだ。
実は最近、数年ぶりにDVDで見て、そのため夢のなかに出てきたのだろう。
蟻がさいげんなく出てくるので、ウンザリして左手をひっぱると、手首からスポンととれてしまう。
切断面はスポンジが詰められているような感じ。
左手がないとさすがに不便だと思う。
ヤフオクに出品されてないかと調べてみると、五万円で出品されていた。
肉体の一部なのに五万円は安いと思う。
オークションの締め切り時間が近づき、入札しようとすると、いつのまにか七十万円にはね上がっている。七十万円だとさすがにためらってしまう。
迷っているうちに誰かに落札されてしまう。
それなので左手のない生活をあらためて覚悟した。