■幻想写真師・寺山修司 | 銀のマント

 

■幻想写真師・寺山修司



 

寺山修司の表現活動は信じられないくらい多ジャンルに及んでいる。
俳句、短歌、詩、作詞、エッセイ、小説、童話、演劇、シナリオ、映画…どのジャンルでも傑作を残し、受賞歴も多い。
そうしたテラヤマワールドの中で比較的知られていないジャンルに写真がある。
残念ながら、写真家としての寺山修司の名前はあまり話題になることがないようだ。
だが、寺山は2冊の写真集を出していて(1冊は没後出版された)、その写真世界はまさに寺山修司ならではのものだった。
その特徴は、被写体に演劇的な演出を施したところにあるが(どの写真も芝居か映画の1シーンのようだ)、今では写真の世界も広がってこうした過剰な演出の写真も珍しくはないが、これらが撮られたのは35、6年も前なのである。そんな昔に撮られたとは思えないほど、斬新な世界を見せてくれる。
今ではコスプレなど当たり前だが、当時は多分コスプレなどという言葉も珍しかった筈で、そんな時代に寺山は被写体にコスプレをさせ、怪人やアリスや吸血鬼を写真のなかに閉じ込めてみせたのだった。