遺言書のことについての相談をしようと
考えた ご相談者の心情としては
「自分に将来もしものことがあった時でも
 家族には迷惑を掛けたくない」
という気持ちから発しているものです。

いろいろ調べてみたり、聴いたりして
遺言書を書いておかないと、相続人同士で
無用の争いをしてしまうかもしれない。

やはり遺言書は書いておいた方が
いいだろう。いいに違いない。

さて、いざ遺言書を書き始めてみようと
すると どう書いていいかわからない。
こんなこと書いてもいいのだろうか?
これだけで本当にいいのだろうか?
そもそもこんな書き方で問題ないのだろうか

さまざまな疑問が出てくるわけです。

遺言書の書き方 なんて類の本はたくさん
あるけれど 自分の家の事情と全く一致する
事例が必ずしも書かれている訳ではない

これは専門家に聞いてみたいな。

あ、ちょうど〇〇市の広報誌に行政書士の
無料相談会があるぞ

無料で専門家のアドバイスが受けられるの
なら 一度出向いて相談してみるか

ってな感じで専門家の先生に相談しに
来られる訳です。

士業の先生って 実に素直な先生が多い

ご相談者が遺言書のことについて相談したい
と言われれば、遺言書についてお答えします



家族構成や大まかな財産状況、ご相談者の
思いや悩みなどをお聴きしてアドバイスを
始めるのですが
果たして それだけでいいのでしょうか

ご相談者は法律の専門家ではないのです。
遺言書という言葉は知っているし、大まかな
イメージももっておられる

でも、そのご相談を受ける士業の先生は
聞かれたことにそのまま答えるだけでは
必ずしもいいとは限らないのです。

当然 ご相談者一人ひとり ご事情が違うの
ですから、それにその方の性格にもよるで
しょうし、
何より相談時間の制限もあるかもしれません

でも聞かれたことだけ答えるのが必ずしも
正解だとは言えないはずなのです。

その方の悩みや将来の不安を解消するには
ご相談どおり 遺言書で解決できるかも
しれないし、実は 他の仕組みもや制度を
組合わせた方がふさわしいかもしれない。

ご相談者は法律の専門家ではないので決して
うまくは言えないけれど、自分の思いを的確
に解してアドバイスして欲しいはずなのです。

それなのに質問されたのが遺言書のことだけ
なので遺言書についてだけ説明することに
こだわったりしてはいないでしょうか?

仮にそれが無料相談会であったなら
無料相談の範囲はここまでよ とまさか
割り切ってしまってはいないでしょうか?

遺言書だけにこだわっていたら

70歳で遺言書を書いて その方が100歳
まで生きられたらどうなるのかというような
肝心なことについて
ご相談者も士業の先生も思いが至らないと
いう場合が結構あるのです。

遺言書はご本人が死なないと効力が出ない。

すると70から100歳までの30年間は
全く効力が出ないということになる

わが国は超高齢社会・超長寿社会なのです

しかも医療はどんどん進歩している

今でも100歳までの長寿の方はそこかしこ
におられ、さほどは従来ほど驚かない

しかも、遺言書を書くことはとても大切なの
ですし、間違いないことなのですから、
ご相談者も士業の先生も一生懸命そのことに
集中する

なぜ、もしかしたら30年間も効力が出ない
かもしれないということに考えが及ばないの
でしょうか?

私も遺言書は絶対に書いておくべき大切な
ことだと思っています。

でも、高齢になればなるほど認知症リスクも
脳梗塞等による判断力低下リスクも高まるの
です。

遺言書を書こうと思ってご相談に来られた方
に士業の先生は専門家として そのリスクの
ことにも触れ、アドバイスすることも必要
なのではないでしょうか?

認知症対策としての愛情信託(家族信託)と
遺言書作成の両方をご提案してあげる必要が
ある場合もあるのではないかと思うのです。

もっとも無料相談会だと時間も限られていて
そこまでお話できない場合があることは事実

しかし、せめて問題提起だけでもして
さしあげた方が良いのではないかと思うのです。