この絵葉書は、5-6年前に所在地不明ながら購入した絵葉書でありまして、名鉄の新名古屋駅あたりかなと思っていたものです(なぜなら新名古屋駅は地下駅だから)。長らく謎でありましたが、このほど「近鉄名古屋駅」であることが判明しました。

△絵葉書 関西急行電鉄 開業記念

△近鉄名古屋駅 改札口

 

近鉄・名古屋線は、大正4年、一身田町(現高田本山)~白子間を伊勢鉄道(のちの伊勢電気鉄道)が蒸気列車で開業して以来、複雑な歴史を経て完成しています。近鉄の前身である「大阪電気軌道」(大軌)および「参宮急行電鉄」(参急)は、昭和6年3月に上本町〜宇治山田(伊勢市)間の直通運転を開始し、さらに名古屋への進出をめざしていました。 参急は、伊勢中川駅から北へ路線を延伸し、昭和7年4月に津駅までの開業を果たします。

 

その先には伊勢電気鉄道の存在がありましたが、同社の経営の悪化により、昭和11年9月に参急が伊勢電気鉄道を合併して、営業線が桑名駅まで到達します。その後、大軌グループの「関西急行電鉄」により昭和13年6月に桑名〜関急名古屋間が開業したことにより、名阪間を3時間1分で結ぶ幹線が完成しています。

 

新線建設の役割を終えた関西急行電鉄は昭和15年1月に参急に合併され、昭和16年3月には、大軌が参急を合併したうえで、商号を「関西急行鉄道株式会社」に変更しました(似た社名ですが、電鉄から鉄道へ変更)。こうして1府4県にまたがる巨大な近鉄ネットワークが完成していきます。

△(左)伊勢志摩ライナー (右)アーバンライナー

 

さて、絵葉書は、昭和13年6月26日に関西急行電鉄の桑名〜名古屋間が開通した際に完成した「関急名古屋駅」の姿を写し出しています。

現在の近鉄名古屋駅であり、開業時から地下駅であったようです。なお昭和41年11月には、名古屋駅前に名古屋近鉄ビルが完成しています。

 △名古屋近鉄ビル
△近鉄名古屋駅の入口
 
 

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