
アタシの知り合いにNさんって
男性の方がおられるんですがね。
年は80代後半かなぁ
たまに会うと色々話すんですよ、
戦争時代の話とか
山の仕事をされてたんで、山についての
面白い話なんかをあれやこれやとね、
あーでもない、こーでもないってね
楽しそうに話してくださる。
アタシもそんな話が好きなもんだから
うんうん、それでそれでって
楽しく聞かせてもらってるんですよね。
で、アタシその時ふと思ったんです。
ある疑問が頭をよぎった。
これ、もしかすると
もしかするぞってね、
思ったんです。
で、アタシ聞いてみたんです。
Nさんにね、聞いてみた。
「Nさんって、もしかして
サンカって見たことあるのかい?」
「サンカって見たことあるかい?」
するとNさんは
「あるある!
一緒に仕事した事もあるわい」
「へぇ!凄いね!
やっぱりサンカって本当にいたんだ」
「サンカのまとめ役の人も
知り合いやったわい」
「へぇ~、みんなどこに
消えたんだろうねぇ」
「いまもおるで。家も知ってる」
「はい?」
全国民の戸籍の登録が始まり
政府が定住を指導したんですね。
「○○をちょっと行ったとこに
焼肉屋あるやろ?あれ元サンカや」
「嵐山に○○○あるやろ?
あれも元サンカやで」
「マタギとして生活を続けた
者もよーけおったよ」
Nさんは最後に
「ただ、一般人からはあんまり良く
思われていなかったから自分から
サンカ出身と名乗り出る者は
もういねぇだろうなぁ」
顔に刻まれた深いシワを
歪めながらNさんは
薄く笑ってましたよ、えぇ。
狩猟や山菜などを採取して暮らす。
究極のサバイバルですよね。
なんか憧れますよね。
生活するための仕事が
いつのまにか
仕事するための生活になってしまって
たまの休日も体を休めるだけ。
一体、なんのために生きてるんだ?
以前、友人にこんなことを言ったらば
「何言ってんだい淳ちゃん。
生物は生きるために生きてんだよ。
生物は生きるのが目的。
な~んにも難しいこと考える必要ないよ」
こんな事を言われたのを
思い出しましたよ、えぇ。
幻の民族サンカ
人間の本来の姿ですよねぇ。






