幻の民族サンカ | 稲川淳一の恐怖の快談

稲川淳一の恐怖の快談

日常生活での不思議な出来事を語ります。



アタシの知り合いにNさんって
男性の方がおられるんですがね。


年は80代後半かなぁ
たまに会うと色々話すんですよ、

戦争時代の話とか
山の仕事をされてたんで、山についての
面白い話なんかをあれやこれやとね、
あーでもない、こーでもないってね
楽しそうに話してくださる。



アタシもそんな話が好きなもんだから
うんうん、それでそれでって
楽しく聞かせてもらってるんですよね。












あの時もまた山での
体験談を聞いていたんですよね。


で、アタシその時ふと思ったんです。

ある疑問が頭をよぎった。

これ、もしかすると
もしかするぞってね、
思ったんです。




で、アタシ聞いてみたんです。
Nさんにね、聞いてみた。



「Nさんって、もしかして
サンカって見たことあるのかい?」










山窩(サンカ)
聞いたことある人いますよね?


サンカっていうのは簡単に説明しますと、
かつて日本に存在した放浪民族。


山間部を定住せずに
狩猟、採取を中心に生活していて
たま~に交易の為に村々に姿を現す。


そんな人達のことなんですよね。









「サンカって見たことあるかい?」


するとNさんは

「あるある!
一緒に仕事した事もあるわい」


「へぇ!凄いね!
やっぱりサンカって本当にいたんだ」


「サンカのまとめ役の人も
知り合いやったわい」


「へぇ~、みんなどこに
消えたんだろうねぇ」



「いまもおるで。家も知ってる」




「はい?」









明治時代には全国で約20万人
昭和の終戦直後には1万人ほど
いたと推定されてます。

ですが昭和の30年代頃には
サンカの人々は姿を消します。

全国民の戸籍の登録が始まり
政府が定住を指導したんですね。







「○○をちょっと行ったとこに
焼肉屋あるやろ?あれ元サンカや」


「嵐山に○○○あるやろ?
あれも元サンカやで」


「マタギとして生活を続けた
者もよーけおったよ」





Nさんは最後に

「ただ、一般人からはあんまり良く
思われていなかったから自分から
サンカ出身と名乗り出る者は
もういねぇだろうなぁ」



顔に刻まれた深いシワを
歪めながらNさんは
薄く笑ってましたよ、えぇ。












季節によって移住しながら
狩猟や山菜などを採取して暮らす。

究極のサバイバルですよね。


なんか憧れますよね。



生活するための仕事が
いつのまにか
仕事するための生活になってしまって
たまの休日も体を休めるだけ。





一体、なんのために生きてるんだ?







以前、友人にこんなことを言ったらば

「何言ってんだい淳ちゃん。
生物は生きるために生きてんだよ。
生物は生きるのが目的。
な~んにも難しいこと考える必要ないよ」







こんな事を言われたのを
思い出しましたよ、えぇ。






幻の民族サンカ
人間の本来の姿ですよねぇ。
































【おまけ】