真言宗の山寺の奥の院を訪ねる
冬で人の訪れも少ないが、拒まれることもない。
どっしりした山門に迎えられ、一歩中に足を踏み込むと
ピンと張りつめた霊気が漂う
自然の石を並べられただけの鎧坂を上がれば そこは金堂
釈迦如来さま、薬師如来さま、文殊菩薩さまが居られます。
人の歩く音くらいしか聞こえない静かな中、三尊のお話しが聞こえる。
正月も終わり、今日も静かじゃ。
もう雪になりましょうか。
人の訪れも少のうございますな・・・・と
ぴんと張った霊気の中、金堂を右に見て左に進む。
石段を上がり 右を見れば本堂に至る。
本堂には ご本尊の如意輪観世音菩薩さまがおいでになる。
穏やかなお顔でおっしゃっている。
今日もここでは何事もなく、平穏でござりますなぁ・・・・良きこと
と
本堂の後ろに立つ五重の塔は近年の台風で杉の大木が倒れ 大きな損傷を被った。
素早く二年でその修復がなされた。
教えの力であろうか。
ここからが奥の院への道。
五輪塔が立つ付近から、巨大な杉の木が立ち並び、訪れる人を見下ろす。
太鼓橋を渡ると
木が、 己が立つ位置にしっかり根を張っている。
その形相はいかなる天変地異があろうとも倒れるものかと
その横を 胸突きの石段が奥の院へ一筋に上がっている。
この石の階段を何人の人が上り下りしたのであろう
年老いた人が祈りを込めて必死に上り下りしたのでは
この石段は名も無い多くの人から寄進されたものであろう
ここそこに多くの人の名が刻まれている。
名前だけの 位の無い人たちによる石の寄進なのだろう
ここは修験者しか上がれない道であったのかも知れぬ
石の寄進によって多くの人も上り下りすることができた
そんな場所に舞台造りの位牌堂が見えてくる
こんなところにどうやって立てたのだろう
昔の匠ってすごいね
出来ないことを、できるように考える。
修験者も
役小角(えんのおずぬ)もそうであったのだろう
私は・・・・ちょっとなぁ
Cobucim
このお寺は千年の時を過ごしている
建物の傷みも目立つように思う。
と共に人による傷も目立つ。
土足による摩耗はまだしも
位牌堂の羽目板は心無い落書きで埋め尽くされている
心が傷むのは私だけではないのでは。