医学部大学等事件35、名古屋大学医学部薬理学教室元教授や大阪大学工学研究科教授が収賄容疑で逮捕 | 医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

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医療事故死は年間2万-4万人と推計されており(厚労省資料)交通事故死の約4-8倍です。医療問題やその他の事件が頻発している金沢大学の小川が、医療事故防止と事故調査の適正化や医学部・大学等の諸問題と改善を考えます。メール igakubuziken@yahoo.co.jp(なりすまし注意)

医学部大学等事件35、名古屋大学医学部薬理学教室元教授や大阪大学工学研究科教授が収賄容疑で逮捕

 

<11月29日朝追記>
金沢大学・尾崎聡助教(医薬保健研究域)逮捕

朝日新聞、2016.11.26
http://www.asahi.com/articles/ASJCT535HJCTPLZB00S.html

金沢大学研究者情報(尾崎聡助教)
http://ridb.kanazawa-u.ac.jp/public/detail.php?id=4082

毎日新聞、2016.11.25
http://mainichi.jp/articles/20161126/k00/00m/040/111000c
MRO北陸放送、2016.11.25
https://www.mro.co.jp/news/detail.php?cd=6565903
<11月29日朝追記ここまで>

 

 今月(11月)15日、大阪大学大学院工学研究科の倉本洋教授が、収賄容疑で逮捕されました。

 

●産経新聞、2016.11.18

http://www.sankei.com/west/news/161118/wst1611180019-n1.html

 

●毎日新聞、2016.11.16

http://mainichi.jp/articles/20161116/k00/00m/040/135000c

 

●朝日新聞、2016.11.16

http://www.asahi.com/articles/ASJCH7GP4JCHPTIL04N.html

 

●時事通信、2016.11.16

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016111501004&g=soc

 

 これらの記事によると、大学に届け出た企業との正規の共同研究を行なう一方で、それとは別に、私的な口座に振り込ませていた金銭について、収賄の疑いが持たれているようです。

 

 医学部における類似の事件として、名古屋大学医学部薬理学教室の元教授が、ダミー会社を通して金銭を受け取ったとして逮捕・起訴され、製薬会社の役員・社員らとともに有罪になった事件を思い出しました。

 

 名古屋大事件の下の2つの記事は、朝日新聞データベース『聞蔵』からの引用であり、この事件について『聞蔵』にはかなりの数の記事が収載されています。

 

 なお、金沢大学の場合、中央図書館トップページの「データベース」から『聞蔵』へ入って読むことができます。

 

<『聞蔵』より、引用ここから>

 

朝日新聞、1998年10月16日朝刊

 

日本新薬役員ら逮捕 名大汚職 【名古屋】=続報注意

 

 愛知県警捜査二課と名古屋地検特捜部は十五日午後、中堅製薬会社の日本新薬(京 都市)から総額六千万円のわいろを受け取ったとして、名古屋大学医学部元教授の日 高弘義容疑者(六〇)=収賄罪で起訴=を収賄の疑いで再逮捕し、同社常勤監査役の榎本宏容疑者(六五)ら三人を贈賄の疑いで逮捕した。同社の新薬開発のため、大学 での研究・実験情報を提供するなど便宜を図ったとされる。日本新薬側から元教授のダミー会社「基礎薬理研究所」(三重県紀伊長島町)に振り込まれた資金は、元教授の妻=処分保留で釈放=が引き出し、遊興費などに使われていた。元教授は容疑事実を否認しているという。

 

 元教授は、富士薬品(埼玉県大宮市)取締役から基礎薬理研などを介して計約一億二千四百万円を受け取ったとして起訴された。基礎薬理研には大手の大塚製薬(東京都)も過去五年間で七千万円を振り込んでおり、県警などは立件を視野に捜査を続ける方針だ。

 

 ほかに贈賄容疑で逮捕されたのは、日本新薬取締役で研開企画本部長の青柳良明(五七)、同本部企画推進課長のA(五四)両容疑者。三人は容疑事実をほぼ認めているという。

 

 調べによると、元教授は主任教授を務める名大薬理学教室で日本新薬のために共同研究することを決定。社員を研究生として受け入れるなど便宜を図った見返りとして一九九四年三月から今年三月までの間、数回にわたり、基礎薬理研に振り込まれた計六千万円を受け取った疑い。

 

 榎本容疑者ら三人については、一部が時効(三年)のため計四千万円が贈賄にあたると認定した。

 

 関係者によると、同社と元教授は九二年ごろから、抗がん剤と脳血管の難病に関連する二種類の新薬の共同研究を始め、抗がん剤は今秋、米国で臨床試験に入ったばかりだった。

 

 県警などは、基礎薬理研をダミー会社と認識していたことは明らか▽社会常識を逸 脱した金額で、資金提供契約の内容もあいまいだとしてわいろと断定。「指導料」や「特許料」などは贈賄趣旨を隠すための名目だったとみている。

 

 榎本監査役は、研開企画本部長などを歴任し、昨年から常勤監査役。日本新薬は一 一年創業。東証一部などに上場し、年間の売上高は約五百三十億円。


 

●名古屋地検特捜部は1998年11月5日、Aさんを処分保留で釈放し、199 8年11月30日に起訴猶予処分にした。



 

【写真説明】 再逮捕され頭から背広をかぶり、愛知県警へ向かう日高弘義・元教授=15日、名古屋市東区の名古屋拘置所で


日高弘義容疑者


榎本宏容疑者

 

<引用ここまで>

 

<小川補足説明>

 上の記事で贈賄側の筆頭に述べられている榎本宏氏は、取締役研究所長を経て常勤監査役になり、その後に逮捕されました。

 

 A氏は、逮捕時のこの記事では実名でしたが、このデータベースでは「Aさん」と表現されて、処分保留で釈放された旨が加筆されています。

 

 A氏は高卒で研究を続けて博士号を取得されましたが、博士号取得後まもなく研究所から他の部署へ異動になり、その後この贈収賄事件で逮捕されました。

 

以下は、引用する2つ目の記事です。

 

<『聞蔵』より、引用ここから>

 

朝日新聞、1999年3月26日夕刊

 

日本新薬元役員に有罪 名大新薬汚職 名古屋地裁判決 【名古屋】

 

 新薬開発に便宜をはかってもらった見返りに名古屋大学医学部の元教授日高弘義被告(六一)=収賄罪に問われ公判中=に四千万円を供与したとして、贈賄の罪に問わ れた日本新薬(京都市)元役員二人に対する判決公判が二十六日、名古屋地裁であっ た。佐藤学裁判長は、元常勤監査役榎本宏被告(六五)に懲役一年六月執行猶予三年 (求刑懲役一年六月)を、元取締役研開企画本部長青柳良明被告(五八)に懲役一年 四月執行猶予三年(求刑懲役一年四月)をそれぞれ言い渡した。佐藤裁判長は「産学協同に対して社会的な疑惑を招いた」と述べた。

 

 判決によると、榎本元常勤監査役らは、日高元教授が主宰する同大の薬理学教室に 同社の社員を研究生として受け入れ、新薬開発の研究・実験結果を提供してもらった 謝礼などの趣旨で、一九九六年十月から九八年三月にかけて四回にわたり、元教授に 対し、ダミー会社の「基礎薬理研究所」(三重県紀伊長島町)を通じて計四千万円を贈った。

 

 日本新薬から日高元教授には、基礎薬理研への指導料や特許関連の費用などの名目で計八回、総額六千万円にのぼる資金提供が行われているが、九四年三月から九五年 九月までの四回分(計二千万円)について贈賄罪の時効(三年)が成立しているため、榎本元常勤監査役らは四千万円について刑事責任が問われていた。

 

 日高元教授は、同社のほか富士薬品(埼玉県大宮市)から一億二千四百万円、大塚製薬(東京都千代田区)から七千二百万円のわいろを受け取ったとされ、すでに富士薬品の元役員が懲役二年執行猶予三年の有罪判決を受けている。大塚製薬前社長には二十九日、日高元教授には三十一日に判決が言い渡される予定。

 

<引用ここまで>