医学部大学等事件16、捜査ではなく犯罪もみ消し〜金沢大学病院患者死亡書類送検での捜査機関の言動 | 医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

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医療事故死は年間2万-4万人と推計されており(厚労省資料)交通事故死の約4-8倍です。医療問題やその他の事件が頻発している金沢大学の小川が、医療事故防止と事故調査の適正化や医学部・大学等の諸問題と改善を考えます。メール igakubuziken@yahoo.co.jp(なりすまし注意)

医学部大学等事件16、捜査ではなく犯罪もみ消し~金沢大学病院患者死亡書類送検での捜査機関の言動

<3月21日追記>

●医師国家試験結果
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/409074/
http://goodfriendkf.xsrv.jp/iryou/shikaishi/ishigakkou/
合格者の皆さん、おめでとうございます。

●医学部大学等事件5、医師国家試験合格率100%の是非~教育効果向上か、卒業制限によるものか?
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12102084246.html


 あと、金沢大学カフェイン併用化学療法での患者死亡刑事告訴事件について、捜査機関が「金沢大学系の医師」を、説明をさせる対象者から除いたという会話は、先週水曜(16日)から下でお示ししていますが、先週金曜(18日)の弁論(東京地裁)で、その録音と録音反訳のセットが証拠として調べられました。

 検察が不起訴処分を発表した2015年10月9日の、直前の本ブログ記事は次の通りであり(いずれも2015年)、また、先週時点で、死亡事案の調査委員会の報告は、まだ出ていないそうです。

(死亡から約6年、厚労省への通報と通報漏洩から約2年半、金沢大学が新たな調査委員会で死亡事案を調査すると発表して約1年半。死亡事案調査委員会立ち上げの記者発表は、2014年9月で、次の中日新聞記事 http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140910152254859

9月9日
少女死亡の通報を厚労省職員が翌日漏洩し戒告処分、漏洩後も死亡を伏せて先進医療を継続
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12070608348.html

9月16日
副作用死を4年後になって治療と死亡の因果関係なしと発表~金沢大学病院少女死亡書類送検
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12073570428.html

9月23日
金沢大病院死亡事件ご担当検事が金沢大でご講演/荒廃する国立大学/国賠訴訟
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12076205097.html

10月7日
医療事故調査の公平性・公正性・透明性~金沢大学病院少女死亡書類送検事件の調査委では?
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12081297960.html

10月9日
検察庁が不起訴を発表。「起訴するに足りる証拠が集まらなかった」、7日付けだとして。
(中日新聞10月10日記事)

http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20151013135326003

<3月21日追記ここまで>




<3月17日夜追記>

「会話記録」証拠4点を、「録音と録音反訳のセット」に差し替えました。

 下記の証拠や準備書面で、甲34号証のように「会話記録」4点を証拠に用いる予定で、弁護士さんに提出して頂いたのですが(証拠番号は甲31から甲34)、録音DVDとその録音反訳(会話記録から、微小な誤記を修正したもの)が間に合うということで、本日午後、「録音と録音反訳のセット」の差し替え分を提出して頂きました。

 表記方法として、今回は、録音そのもの(音声ファイルをDVDに焼き付けたもの)を「録音記録」、その録音からの反訳は「録音反訳」と表記するそうです。

<3月17日夜追記ここまで>


 今回は、今週金曜(3月18日)に東京地裁で弁論が開かれる、金沢大学カフェイン療法少女死亡書類送検事件の通報者情報を、厚労省職員が漏洩した国賠訴訟で、先週証拠として提出した主張の準備書面や証拠類の一部をお示しします。

 捜査担当の警察官と原告小川との録音記録、録音反訳と、担当検事が捜査期間中に金沢大学で行った講演の記事(金沢大学ホームページの)、不起訴の新聞記事、私のブログ記事(被告国が一部を証拠として訴訟で証拠提出し、今回は私が一部を証拠提出)などについてです。

平成28年3月18日(金)午後1時15分
東京地方裁判所 第709号法廷
原告:小川和宏(金沢大学医学系准教授)
被告:国、中谷大作(漏洩時、先進医療専門官。現大阪大学病院循環器内科准教授)
事件番号:東京地裁平成26年(ワ)第22761号


 まずは、先週金曜に提出した、原告準備書面9です(準備書面とは、準備予定内容を記して事前に提出し、法廷で陳述する書面このと。いわば、主張予定内容の書面)。


●原告準備書面9(H28.3.11付け)より、一部を引用

<引用ここから>
6、捜査ではなく犯罪もみ消し

 被告国は、原告が、原告準備書面8の時系列について、「不起訴情報を知りながらそれを時系列に記載しなかった」ことを理由として、認否を要しないと主張している。これだけでも噴飯ものだが、本件死亡の捜査は、「捜査」の名に値しないどころか、犯罪もみ消しであることを以下に述べる。

(1)警察が、金沢大学系の医師を、説明対象者から外すという条件を付したため、遺族側から説明をする医師がいなくなった
 甲34の録音記録、録音反訳の通り、本件通報の15日後である平成25年10月16日、本件の告訴事件担当の金沢中警察署刑事課の宮本警察官は、金沢大学系の医師を、告訴事案に関する医学的内容の説明対象者から外すという条件を付したため、遺族側については説明をする医師がいなくなったことを、原告小川に説明した。
 これによって、金沢大学関係の医師で、医学的内容を警察に説明する者は、告訴されている土屋教授ら3名だけとなり、これによって適正な捜査情報収集が全く期待できなくなった。
(2)証拠が集まらなかったとして不起訴に
 甲35の中日新聞記事の通り、平成27年10月9日、金沢地方検察庁は、「起訴するに足りる証拠が集まらなかった」として不起訴処分を発表した。
(3)捜査期間中(不起訴5ヶ月前)に、担当の吉田検事が金沢大学で講演
 上記の不起訴処分発表の約5ヶ月前である平成27年5月13日、この告訴事件の捜査担当の吉田尚史検事が、金沢大学で講演した。利益相反と考えられるような、担当検事の行為である。
(4)倫理違反調査委員会の委員の詳細を公表した2日後に不起訴発表
 原告小川は、上記の不起訴発表の2日前である平成27年10月7日夜に、カフェイン併用化学療法の倫理違反を扱っていた金沢大学調査委員会の、外部調査委員1人1人の詳細を、ブログで公表した(甲37)。記者から、「身内で固めた調査委員会ですね」との指摘を受けた原告小川が、公開情報のみを基に、検索して示したものである。
 検察が不起訴処分を発表したのは、原告小川がこのブログ記事を公表した2日後であり、不起訴処分の日付は、原告小川の上記ブログ記事と同じ平成27年10月7日付けだと発表したものである(甲35)。
(5)このように、本件の元になった告訴事件について、捜査機関自らが公正・適切な捜査情報を集めない姿勢をとった上で、担当の吉田刑事が捜査期間中に金沢大学で講演し、原告小川が調査委員会の実態を公表した2日後に、金沢地検が「起訴するに足りる証拠が集まらなかった」という理由で不起訴処分を発表した。とても「捜査」と呼べるものではなく、むしろ「犯罪の隠蔽」と評価しうるものであり、原告準備書面8の時系列に不起訴情報を記さなかったのは自然なことである。勿論、捜査機関によるこうした経緯が無かったとしても、本件の核心部分に必要な認否の拒否が許されるものではない。
<引用ここまで>


 上記訴訟が死亡告訴事件そのものではなく、私による通報が漏洩された件の訴訟であるのに、なぜ捜査関係の録音や書類等を証拠提出する必要が生じたかを、疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。

●中谷被告による漏洩メールは次の記事の中ほどの画像
http://ameblo.jp/jpmax/entry-12138866781.html

 それは、引用の初めのほうで略述している通り、こちら(原告)が提出した以前の準備書面に記載した時系列での経過について、被告国が、「原告が、土屋教授らが不起訴になったことを知りながら、時系列に記載しなかったため、時系列について認否しない」旨の主張を行い、認否自体を拒否してきたためです。

●原告の時系列主張部分のブログ記事(記事の後半)
http://ameblo.jp/jpmax/entry-12098847497.html


 私は不起訴を知って、本ブログで速やかにお伝えしました(2015年10月14日)。
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12083848154.html

 このブログ記事を、被告国が上記訴訟で証拠提出して、私が不起訴を知っていたのに時系列に記載しなかったから、認否しないと主張してきたのです。

●被告国による時系列の詳細認否の拒否
(準備書面(5)の冒頭ページと第2ページ中~下の認否拒否)
1
2

 被告国の訴訟代理人は、私のブログを調べて、裁判で証拠提出して主張するほどヒマなのかと、またもや驚きました。

 被告国の訴訟代理人(上の準備書面の画像の1枚目に記載)は、訟務検事(法務省等に所属する法曹資格者で、裁判等を扱う公務員)と厚労省職員(そのうち1人は漏洩した中谷被告の後任で、中谷被告と同じ大阪大学病院循環器内科から出向の真田氏)のようです。

 そのため、通報時に私(通報者)の詳細情報を聞き出して、翌日「これ以上の情報は得られませんでした」とメールに書いて被疑者(刑事告訴されている人、漏洩当時)である土屋教授側に漏洩したり(被告国が証拠提出した乙第1号証)、厚労省等の組織で時間をかけて何度も検討して、私の通報が「法律が言う公益通報に該当しない」との主張を繰り返したり、私のブログを読んで不起訴を知っていたから認否しないと主張するようなヒマがあるのなら、そうした時間を使って、適正な医療や司法の実現に貢献して頂きたいと、私は感じました。

 これらの方々は、公務員になる時に、「国民全体の奉仕者」の宣誓をしていないのでしょうか?

 私が国立大学助手になった時は、国立大学が法人化する前で、当時の身分は公務員であったため(現在は非公務員)、命令権者であった当時の医学部長に対して「国民全体の奉仕者」として職務を遂行する旨の宣誓をして、その場で採用の辞令が交付されたことを思い出しました。

 そんな十数年前の昔のことを思い出すほど、本件訴訟の被告側の公務員の方々による「強烈な印象を与える言動」が続いてきているのです。

 初めの原告準備書面で用いている、今回提出した甲34号証~甲37号証(他にも今回提出した証拠はあります、甲31から甲33の、録音記録および録音反訳)について、以下にお示しします。

●甲第34号証の2、宮本警察官と原告小川との録音反訳

 会話日は、通報および通報漏洩の約2週間後である、2013年10月16日です。

<引用ここから>
甲第34号証

録音反訳

2013年10月16日の、原告小川と宮本警察官(金沢中警察署・刑事課)の会話

録音反訳

(固定電話が鳴る音)
小川「金沢大学・薬理学です。」
宮本「もしもし」
小川「はい」
宮本「小川先生でしょうか?」
小川「もしもし」
宮本「もしもし、小川先生でしょうか?」
小川「はい、そうです。」
宮本「金沢中警察署の刑事課の宮本といいます。」
小川「こんにちは。」

(中略)

宮本「すいません、先日からお騒がせしまして。あのう、弁護士先生から、ご連絡はあったでしょうか?」
小川「えーと、あのう、「金沢大学系以外の医師で」っていう連絡は、あれから間もなく、弁護士さんから頂いたんですが、はい。」
宮本「それで、あのう、こちらのほうとしては、先日も、サカウエ先生から、弁護士先生から連絡がありまして、」
小川「すいません、ちょっとお電話遠いんですが。」
宮本「弁護士さんのほうから、先日、ご連絡、こちらのほうにありまして、お願いしていた件について、弁護士先生のほうでは、これ以上はちょっと、先生(注釈1)を探すっちゅうことは難しいということで、ご連絡あってですね、今回の依頼、サカウエ先生にご依頼した件については、これでまあ、こちらのほうでは必要なくなったということで。すいませんが、小川先生にも、ちょっと、ご足労おかけしたぶんもありましたので(注釈2)、一応、ご連絡ということで、ちょっと電話させてもらったんです。」
小川「えーということは、患者さん側の、説明をする医師は見つからない、ということですか?」
宮本「という結論、ということで、こちらで出まして、これで一応、サカウエ先生に、こちらからお願いした件については、これで終了って形になるんですが。」
小川「すいません、ちょっと聞こえにくいんですが。最後のほう、サカウエ先生に何ですか?」
宮本「ご依頼、こっち、警察からご依頼してた件については、これで終了という形になるんです。」
小川「ああ、そうですか。」
宮本「一応、サカウエ先生から小川先生のほうにご依頼してたというふうにお聞きしてましたので、一応、先生にもその旨ご連絡を、こちらからもご連絡をと思いまして、ご連絡させてもらいました。」
小川「えーと、終了ってことは、じゃあ、患者さん側の医学的な説明とか、そういう情報はどうなるんですか?」
宮本「え?」
小川「いやいや、あのう、刑事告訴の事案ですよねえ。」
宮本「ええ、あのう、一応、警察側としても、一応、第三者的な立場の先生からは、一応、こちらで選定した先生からは、お話は聞いてますので。」
小川「ああ、そういうことですか。」

(中略)

小川「それで、例えば、医学的な文献を集めてですね、証拠として裁判に出したりとか、そういうことは時々あるんですよ、私が知る範囲でね、」
宮本「はいはい」
小川「で、刑事の手続きの場合は、そういうことはしないっていうことなんですか?」
宮本「えっと、一応、こちらでも、文献は幾つかは集めているんです。」
小川「ああ、そうですか。まあ、文献といっても、かなり膨大ですからねえ。」
宮本「ああ、そうです」
小川「ある程度関係あるものまでいったら、何百、何千ですからねえ。」
宮本「ええ」
小川「其の中から、まあ、本件に関係が深そうなものをどうやって選ぶかっていうのは、結構大変なわけなんですけど、」
宮本「ええ」
小川「そのへんは、警察のほうは、エキスパートいらっしゃるんですか?」
宮本「そうですね、あとはまあ、こちらとすれば、検察庁と打ち合わせの結果ですね、そういう先生(注釈1)がもし、もし弁護士さんのほうで知ってる方がおいでれば、ということで、お話した件だったので、その回答として、先日、弁護士先生から回答がありましたので。」
小川「ああ。まあ、だから、医師を見つけるのは難しいという話は、聞いていて、それで私のところにも来たんだと思うんですけどね、現実問題としてね。」
宮本「ええ、そうですね。」
小川「ええ、で、おそらくそれはそうだろうと最初から思ってたんですけど。で、どうですかねえ、医学的な解説とかを、これから準備してもいいのかなあ、っていう話をしてたんです、昨日だったかなあ、ごく最近ですよ。」

注釈1:「遺族側(告訴人側)から、捜査機関へ説明をする医師。ただし、金沢大学系以外に限る。」という意味。「金沢大学系以外に限る」の条件が付されたので、金沢大学に所属している、あるいは所属したことがある医師で、遺族側(告訴人側)から説明しようとする医師は、説明できなくなった。
注釈2:宮本警察官は「ご足労をおかけして」と言っているが、小川はこの件で警察に行ったことはないので、勘違いか、「電話連絡で手間をかけた」の意味と解される。
<引用ここまで>

●小川の補足説明
 弁護士さんから、私へ、「医師としてではなく、薬理学者として」説明してくれないかというご依頼は来ていたのですが(上記会話中の「医師を見つけるのは難しいという話は、聞いていて、それで私のところにも来たんだと思うんですけどね、現実問題としてね。」は、それを踏まえての発言)、警察から「金沢大学系の医師は除く」という条件が付されたので、私は金沢大学に所属しているため、「医師として」の説明ではないものの、同様に説明が出来ないような流れになったのです。

●甲第35号証、中日新聞の不起訴の記事(2015.10.9)より、一部を引用
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20151013135326003

金大教授ら3人不起訴
(中略)
 地検の尾関利一次席検事は9日、理由を、「起訴するに足りる証拠が集まらなかった」とコメントした。
(中略)
 弁護士によると、不起訴の判断を受けて遺族は大きなショックを受けており、今後の対応は決まっていないという。
<引用ここまで>

●甲第36号証、吉田尚史検事の金沢大学講演記事(金沢大学ホームページ)
http://www.kanazawa-u.ac.jp/news/27352

 不起訴処分の約5ヶ月前、すなわち、本来なら捜査中の時期に、金沢大学で講演したという記事です。

●甲第37号証、原告小川のブログ記事(不起訴発表の2日前)
 カフェイン併用化学療法の倫理違反の調査委員会の、委員(特に外部委員4名)の詳細を公表したもの(死亡事案の調査委員会は別で、通報から2年半近くなるが、死亡調査の報告は見当たらない)。
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12081297960.html

 次は、この金沢大学カフェイン療法少女死亡書類送検事件について、私が昨年12月18日に横浜で講演した時のスライド(詳細版を本ブログにて断続的に連載中)から3枚ほどをお示しします。

●スライド162、心機能の大幅急落後も投与続行で約11日後に死亡
162

●スライド66、死亡翌日の主治医の説明(病院が録音)
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●スライド67、死亡翌日の主治医の説明(病院が録音)
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