最近、複数の患者さんから同じような質問を受けました。
「歯を磨く時は、まず、歯磨き剤を使わずに、空磨きをしてから、歯磨き剤を使ってもう一度歯磨きをしたほうが良いのですか?」という質問です。
入蔵は、何週間か前に、ある歯医者さん(歯医者、あるいは同業者と書きたいところですが、呼び捨てに違和感をお覚えになる方もいらっしゃると思いますので、このブログでは「歯医者さん」と書くことにします)がテレビでそのようなことを言っていらしたので気になっていました。
テレビで、不特定多数に説明しているのですから、しかたありませんが、入蔵が自分の歯科医院で、こういう説明を、多くの患者さんにしていたのは多分15年、あるいはもう20年くらい前のことかも知れません。
今は、ほとんど、こういう説明はしていません。
入蔵が、こういう説明をしていた頃は、歯磨き剤の中の発泡剤(ここでは単純に泡が出る成分と思っておいてください)の割合が多かったので、歯(口の中)が十分にきれいにならないうちに、「きれいになったような気がして」「スッキリしたので」等の理由で、歯を磨く時間が短くなってしまう人が多いと言われていました。
患者さんの中には泡が出るので、好きな所で磨けない(例えば、「テレビを見ながら茶の間で磨く」とか、「勉強机の前で本を読みながら磨く」と言ったようなこと)というご不満をお持ちの方もいらっしゃいました。
そこで、上述のような説明、指導をしていました。
しかし、そうこうするうちに、発泡剤の割合が少ないものや、無配合の歯磨き剤が作られるようになりました。
少し注意していただけると、今皆さんが普通にお使いの歯磨き剤はあまり泡が出ないことに気がつかれると思います。
最近は、こういった歯磨き剤のほうが「普通」になりました。
発泡剤のせいで歯磨き時間が短くなる人は、あまりいません。
入蔵が大学院生の頃は、歯磨き剤や、フッ化物洗口後に口の中にどのくらいフッ化物が残るかというテーマの研究が盛んにおこなわれていました。
フッ化物のむし歯を防ぐ力を最大限に発揮させつつ、なるべく口の中に残るフッ化物の量は少なくしようという研究でした。
今は、これとは逆に歯磨き剤の中に入っているフッ化物の効果をより良く発揮させるために、歯磨き剤はむしろ多めに使い、口の中に少し残すようにするのが常識になってきました。
皆さんも、かかりつけの歯医者さんから、歯を磨いた後のうがいは少なめにしてくださいという指導を受けたことのある方もいらっしゃるでしょう。
フッ化物をなるべく口の中に長く残そうという考えに変わっているのです。
隔世の感があるというのはこのことでしょう。
でも、入蔵は、先程「ほとんどしない」と書きました。
もともと歯磨き時間が短い人に、両者の併用をお願いすると、空磨きだけで、終わってしまったり、途中で、ブラシをゆすいだり、歯磨き剤を付けたりすることによってかえって歯磨き時間が短くなってしまう人がいるのです。
患者さんは十人十色、どんな種類の歯磨き剤を使っても、歯磨き剤の刺激で、唾液がとてもたくさん出てしまう人がいます。こういう人には、空磨きと、仕上げの歯磨き剤の使用を組み合わせた方法を今も指導することがあります。
単純な話ではありません。
最近では「かかりつけ歯科医を持とう」と盛んに言われるようになりました。
つまり、「かかりつけ歯科医」は十人十色の患者さんに十人十色の指導をする必要があり、実際にそうするのです。
テレビで言っていたことが「あなた」にあっているかどうか、わからないのです。
他の誰かには良いことでも、あなたにとって良いことでなければ、「あなたにとって意味のないこと」ではないでしょうか?
この記事はとても長くなりそうなので、今日はここまでにします。
ではまた(^^)/
友人に「お前のブログ、お前の閉会の辞くらい長いぞ! 短くしろ」と言われてしまいました。
そこでこの記事は、3回位にわけて書きます。
この続きは結構、厳しいことを書くつもり(相当オブラートには包みますが)なので、「密かに行きたい」です。
あまり、他の人にこの記事のことを話さないでくださいね。
読者10人以内を目指したいです。