善悪を超えて、ただ求める執念。

 

 

 

余命幾ばくもない日本画家は、天才料理人であった父の死とともに父が十数年監禁していた少女と出会う。

 

そういう話で、面白く読めたのですが、こういう倫理観に反する物語というのは、

 

狂おしいほどの情念、とか、

 

現実のものとは思われないような耽美さ、とか、

 

そういう暴力的なほど過剰なパワーで押し切らんと難しいような気がしますね……。

 

たとえばうちの家族は本当に善良な常識的なタイプが多いのですが、家族と本の話をしているとき、

 

中学校では生徒会長をしていたような兄が、三島の「金閣寺」について、

 

「金閣寺は焼かれなくてはいけなかったんだよ」

 

と熱っぽくなるような、

 

そういうパワー。

 

読んでるほうも流されてしまうような熱さといいますか。

 

「いやいや、駄目でしょ!!」とツッコまれたら、負け。みたいな。