未来から来た死者。

 

 

 

早朝にスマホに着信があってめざめ、しばらく連絡を取っていないひとだったので迷いつつ出てみたら無音で、切ったものの目がさめてしまったので読みかけの本を読んでしまいました。

 

好きな本について紹介するときは、目にしたひとが読むときにできるだけ初読の楽しさを味わってほしいとあまり内容に触れないんですが、この本もそういう本です。

 

読みながら、わたしたちが幽霊として接している(?)肉体の感知できない存在は、「戦国時代の落ち武者」とか、「戦争で亡くなったひと」とかの過去のひとだけでなく、「200年後の京都で亡くなったひと」とか、「文明が滅びたあと細々と生き残っていた人類」とかの未来に生まれて亡くなるひともいるのかもしれないな、ということを考えました。

 

死んだら、「ここから先に行く」だけでなく、「ずっとずっと昔にさかのぼる」こともできるのかもしれない。

 

というようなことを考えて、楽しくなりました。

 

小説としても、くるくる視点の人物が切り替わって、しかもほとんどが再登場しなく、誰かに感情移入して読むということが難しいにも関わらず、文章を読む楽しみにすいすいと読み進めていける、いい本でした。