猥雑な世界に身を置いても、やはり残るのは女の愛。

 

 

 

直木賞作家桜木紫乃先生が、同郷のカルーセル麻紀さんの少女時代を小説に描いた作品です。

 

わたしが生まれるより前の時代に、男と生まれて女の格好をしたい、美しくなりたいと生きたら、こんな思いをしなければならなかったのか、と思わされる話でした。

 

でもね、本人は前を見てぐんぐんぐんと進んでいく。

 

夜の、お酒を飲ませる店の空気が漂います。

 

ですが、どこかで芯のところに置いているのは、子どもの頃は得られなかったと思っていた、母の我が子のすべてを受け入れる愛。姉の痛みを包み込んでくれるような愛。のように見えました。

 

男にも愛はあるのでしょうが、女のそれとはすこし違うように、わたしには思えます。