ファーストインプレッションは覆らないのか?
彩瀬まる先生の本は「森があふれる」を刊行当初に読んで、あまりピンとこないまま次の本に手が伸びませんでした。
で、「くちなし」を読んでみて、やっぱりなんかピンとこないなという感想です。
幻想的な話というのは好きなんですけど、幻想的であればあるほど描き出すものの精度が大事になってくるような気がするんですよね。
で、これらの話で描かれたものが、わたしが本質だと感じるものとは違うような感覚があって、合わないということなのかなと思います。
言葉の表現としてはとても美しいものがあって、抜き書きするととても素敵なのではないかと思います。
こちら図書館で借りた本なのですが、シャーペンで本にラインを引いたのを綺麗に消したような跡があって、そのラインを引いた箇所がまたこれが「ええ、そこ?」とピンとこない箇所だったので、本当にこれは感性が合わないということかもしれません。
心に残ったのは幻想要素の少ない一編で、ブラウスが7000円からというブランドがちょっと頑張れば買えるブランドということになっていて、日本という国はそこまで貧しくなっていたのか……と少々呆然としました。
わからなくはないんですけどね、でも普通に働いている社会人がその感覚というのはなんだかさみしいなと思ってしまいました。