こちらは面白かった!

 

 

 

前回の林真理子さんの本ではずいぶんくさしましたが。

 

 

やはりするするとひっかかりなく読める筆力というのは、並大抵のものでなく。

 

こちらの本も、「うわ~……」ってなっちゃうところはありました。

 

 

娘に李王家との縁談を進めていく際、最初難色を示した娘に自分も思っていなかったような「お国のためだ」と言って聞かせるところなどは、「どの口が!?」みたいになって途中で読むのを休んだり。

 

ただ時代の違いや、当時の大名華族の姫君であった、宮家の妃殿下であったことなどを考えると、その思考や思想信条の「うわ……」となっちゃうのもいたしかたないところであるのかな、という納得をしました。

 

ちょうど漫画の「昭和天皇物語」を読んでいるので、時代背景なども「漫画のあのあたりだな」などと重ねながら読めました。

 

ひとりの高貴な女性が我が娘たち、また親戚関係にある娘の、その女性の視点での幸せを願って縁談をとりまとめるに奔走する。

 

庶民には、またいまの時代には考えられないようなところもありますが、そういうこともあったかもしれないと思わせるのは、なんだかんだしながらも主人公の伊都子妃の根底に娘や年若い女たちへの愛があるように感じられたからでしょうか。

 

自分の考える範囲内のものではあっても「幸せであってほしい」と、行動しているように思えました。

 

一方で、朝鮮や中国といった国々へ向ける目の無邪気なまでの傲慢さも、この国にあったものだというように感じます。

 

ただ、林さん手書きで一気に書いていく執筆スタイルだと耳にしました。細かなところで矛盾とまではいきませんが、以前に書かれていた描写を考えると違和感のある書きぶりがあったのが気にかかります。

 

ん~でも、筆力には間違いないな~……と、しみじみ。