百合を期待してたんだがな!!

 

 

 

きょう読み終わりました。

 

金原ひとみ先生、話題になっていたけど1冊まるまる読むのは初めてでした!

 

むかし書店でこれではない当時の新刊をぱらぱらとめくっていて、完全に泥酔したあとで書いた記憶もない文章がパソコンに残っていることがあり、それを錯文と呼んで小説に使うことにした……。みたいなあたりを読んで、うおお……文学……と恐れをなして読むのをやめました……。

 

本は好きなんですけど、感性迸る純文学ど真ん中みたいのはあまり得意でないので、金原ひとみ先生の作品はそういうのかな?となかなか読めずにおり。

 

で、こちらの「ミーツ・ザ・ワールド」

 

 

 

 

あらすじを知ったときに、婦女子とキャバ嬢が出会うというのを見て、「え、意外と俗っぽくない?」「え、もしかしてガール・ミーツ・ガールで百合じゃない?」と思って読みたくなりました!

 

わたし綺麗な百合作品大好きでして……宮木あや子先生とか、百合っていうと怒られちゃうかもですが中山可穂先生とか好きなんですよね。

 

読んでみて、……百合だけど百合じゃなかった。

 

ふたりの間に愛はあるけど、恋愛的なものではなかった。

 

でも、わたしには、いま!読むのにふさわしい本でした!

 

まず、主人公の腐女子由嘉里が自分にレッテルを貼って卑屈になるところをべりべりべりべり剥がされてゆく!

 

オタクってさ!なんか知らんけど卑屈になったり、自己肯定感持てなかったりするよね!

 

あれやっぱり学生時代の「オタクキモい」とかの扱いのせいかな?

 

でも最近そういう風潮なくなってる気する!

 

若い娘の多いコスメアプリとか見ても、現場行って推しに会うためのメイク!って現場が2.5次元だったり、好きな絵師(イラストレーター)さんの描く女の子再現メイク!とかあったりするもん!

 

結局、当事者が「わたしたちキモいですよね、理解不能ですよね……」と卑屈になるのがよくないのかな?

 

まあ実際、性愛を扱っていたり、倫理観ぶち壊すような創作を好んだりもしているので、すべてを日の光の下でさらす必要はないと思う!

 

で、由嘉里がオタクであることとか、自分の容姿について卑屈になると、美貌のキャバ嬢であるライがひっかかって、そのレッテルをべりべり剥がす発言をするわけです。

 

それって愛ですよね。

 

誰かがいじけて卑屈になってるのに、「そうね~、わかるわかる~」って乗っかるの楽だし場がまわるけど、いっこいっこそうじゃないって言っていくのは愛だな!と思います。

 

由嘉里も素直なんで、ライにそういわれるとちゃんと自分を省みて納得していくんですよ。この子たちふたりともいいこ!

 

 

 

また、先日のリーディングで恋愛、性愛についてがいまのテーマだ、と言われたわたしに刺さる部分もありました。

 

 

主人公由嘉里は恋愛経験がない。けど熱烈な恋愛感情というものに憧れがある。

 

だけど実際恋愛市場に出てみると、お互い好きとか好きじゃないとかじゃなくて釣り合う釣り合わないと値踏みしあうようなつきあいになってしまう。

そこから一歩踏み出してみるんですけど、そしたらその相手はとある理由から恋愛は100%ないな、という結論に至ってしまう。

 

わかる~!!となりました!!

 

わたしの場合、ひとを好きになると様子がおかしくなるので、そういんじゃない冷静にちゃんと付き合える相手……と一回だけ婚活パーティに出たことがあるんです。

なんかこう、スペックとか条件を値踏みされてる感がありありで、正直不快でした。

 

それよりもっと若い頃ですが、けっこうよくあったのがわたしの場合、胸をじろりと見た後でいきなり声かけてくる男というのが結構いまして……あれも腹立つんだよね……。

 

一方で、夜の世界の住人であるキャバ嬢ライやホストのアサヒ、小説家のユキといったひとたちの恋愛模様はといいますと、けっこう感情優先で、純で、そのぶん激しかったりする。

 

このへん、キャバをやってた若い頃の友だちの話を思い出して、「ああ~、かも~?」ってなります。

 

あともしかして?と思うのは、恋愛というのは自分を晒す勇気がないと難しいものかもしれませんね。

 

いいところだけ見せよう!とすると苦しくなったり嫌になっちゃう。

 

駄目なところも含めて晒しあって、許しあったり、認めあったり、変わっていったりするものなのかもしれない。

 

 

 

そして、由嘉里が出会って、愛したキャバ嬢ライは死にたいキャバ嬢なんです。

 

それも「つらいしにたいぴえん」って感じじゃなくて、「自分は消えているのが正しい状態」という信念?のようなものを持っている。

 

本人もそれを覆そうと限りなく努力はしたけれど……。という。

 

この世間一般でいう幸せが自分にとって幸せじゃないというのは、他の登場人物の小説家のユキにもあって、理解してくれて優しい夫ができて娘も生むのに、自分でそれをぶち壊してしまいます。

 

どうして?ってなるけど、わたしもそういう心理はあるように思います。

 

ここでこつこつ普通にやれば世間一般の成功は手にはいるだろう。というときに、そんなにつらくもないはずなのに、めちゃくちゃつらくなって病気になったり、投げ出したりしてしまう。

 

いやでもわたしは世間一般がどうとかいっても、幸せでいたいからな……。わかるとか安易に言えるものではないかもしれない。

 

 

 

ざっとこのようなことを思いながら読みました!

 

初読の金原ひとみ先生作品はイメージしてたより理解可能で、意外と理屈っぽくて、面白かったので他の作品も読みたいです!