『切腹(HARAKIRI)』(1962)拝見 | 時は止まる君は美しい

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巡りあった美しい人達の記憶を重ねます・・・
B面ブログ「扉・鎧戸・宵の口」も始めました。

 

鬼気迫る

 

滝口康彦原作小林正樹監督作品、日本、172分

 

 

 

仲代達矢様、岩下志麻様、石浜朗様、三國連太郎様、三島雅夫様

丹波哲郎様、佐藤慶様、小林昭二様、井川比佐志様、稲葉義男様他

 

 

殺陣が素晴らしい時代劇、というと、結局殺し合い

ということになるので、それを美学にしてしまうことに、

若干の抵抗があって、これまで、黒沢監督の作品を何作か以外、

ほとんど拝見しないでおりました。

 

 

しかし、いやもう、参りました

 

 

いきなり、タイトルロール武満徹様の音楽から。

三味線のみという迫力。日本人に生まれて、

三味線習ってなかったのを、後悔するようなぞくっとする音色

タイトルロールとエンドロールで二回出る題字

 

 

長屋武家屋敷が舞台になる、

そのどちらもの建物光と影様式美

 

 

太平の世になり、食い詰め浪人があふれた時代。

武家屋敷の門を叩き、腹を切ろうと思うので、

門前をお借りしたい、と申し出て、幾ばくかの金銭を渡され、

厄介払いをされた浪人がいた。

その話が広まり、同じ行動をとるものが現れる。

 

 

ある日、井伊家でも、そういう若い浪人が現れるが、

家老は、ここで金銭を払うのはまかりならんと、

実際切腹をさせることにする。

 

 

しかし、その浪人が携えてきたのは、真剣ではなく竹光

笑いものにされながら、浪人は、木剣で無理やり切腹を。

 

 

後日。また、同じ口上浪人が現れる。

通されて、家老と対峙する浪人。

これが、家老、三國廉太郎様、浪人、仲代達也様という濃厚さ。

エスプレッソダブルって感じ。

 

 

 

こうなったら、今月、『飢餓海峡』はやはり必見?

 

 

しかし、浪人が所望する、介錯人三名が、皆病欠中

彼らへの使いが行き来する間、浪人は身の上話を語る。

 

 

そこには、竹光で切腹した若者と繋がる意外な話が。

病欠の三名が、どうして揃って休んでいるかも判明する。

 

 

一番の大物は、丹波哲郎様。このお方と、仲代達也様の殺陣迫力

 

 

 

皆さん俳優さんですよね、殺陣って一種の振り付け?ですよね?

こんなこと出来てしまうことが驚異的

浪人の話に、家老がどう出るかも気になる

 

 

胸に迫る話にも、武士としての信念を曲げない家老。

一言でも、いきさつについて、情けをかける言葉があれば・・・

終盤の立ち回りのすさまじさ。

 

 

冒頭と最後に、家老が記す「井伊家覚書」が映し出される。

 

 

事件の顛末を記したもの。「歴史」片隅の出来事。

それは、覚書の通りで間違いないのかもしれない。

新聞のようなもの?そこに書かれない「心」は、

常に存在し、そして、忘れられていくのか。

仲代達也様の娘役岩下志麻様。この時、御年お幾つくらいか?

 

 

 

 

 

びかびかの娘時代から、結婚してになり、病気で窶れきったお姿になるまで、

まるで違和感なく、実年齢、わかりませんでした。

研ぎ澄まされた、役者さんとキャメラが捉える、

超一流映画とは、こういうものなのか、と、改めて思う一作。

 

同原作で、原作通りのタイトル『一命』(2011)

 

 

三池崇史監督作品、日本、126分

 

 

市川海老蔵様、役所広司様、瑛太様、真島ひかり様、竹中直人様

笹野高史様、平岳大様、中村梅雀様他

 

 

 

こちらも拝見。坂本龍一様の音楽が低く流れ、

虚しく辛い話の中・・・ご家老も浪人夫婦も、

白猫さんを可愛がっている中のエピソードが、

に迫りました。

 

 

 

でもね、三池監督作品でも、CGの雪は、やはり苦手だあ。

 

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