『清作の妻(The Wife of Seisaku)』(1965)拝見 | 時は止まる君は美しい

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巡りあった美しい人達の記憶を重ねます・・・
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最後にわかる作品の意図

 

吉田弦二郎原作、新藤兼人脚色増村保造監督作品、日本、93分

 

 

若尾文子様、田村高廣様、千葉信男様、紺野ユカ 様、清川玉枝様

殿山泰司様、潮万太郎様、成田三樹夫様、小沢昭一様

 

 

若尾文子様、ソフトバンクくらいにあくが抜けてくださるとよいのですが、

お若い時、あまりのフェロモンだだ洩れに、『千羽鶴』以来トラウマのみどり。

久々に、新たにお作を拝見いたしました。

先般、ヴロンスキーの物語で、満州が舞台となっていて、

こちらも日露戦争絡みの、濃い愛情モノということで、比べるともなく

家庭が貧しく、街の呉服屋の六十を超えるご隠居に、

十代で差し出された、お兼。

 

 

 

この、殿山泰司様がいいんだけど、そりゃ、十代の娘にとっては、辛い相手・・・

 

 

 

 

老人の死後、遺言通りのを渡され、これで縁は切ると言い渡される。

 

 

病弱だった父も死に、は、村へ帰って死にたいと言ってきかない。

貧乏のあまり、借金で田畑を取り上げられ、追い出された村。

帰っても、つまはじきで、女たちからは愚弄され、男たちからは揶揄され。

 

 

でいた時も、どれほど愛情を語られてもむっつりしていたお兼。

日々、ふてくされて縁側に座りっぱなし。

そんな日々の中、軍隊から除隊した、真面目な模範青年清作が、村へ帰ってくる。

軍隊で貯めた貯金で、鐘楼を作って持ち帰り、

早朝、鳴らし続けて、村の衆全員をたたき起こす、行き過ぎくらいの模範青年。

 

 

そんな清作が、お兼の母親が発作を起こした時、

家の近くを通りかかり、医者を呼びに走ってくれる。

 

 

その甲斐なく、母を亡くすお兼村人冷たいが、清作説得葬儀を。

それでも、通例の、用意した酒に手を付ける者はなく、帰っていく。

最後に残った清作を引き留め、せめて酒を飲んでくれと頼むお兼。

「一人にしないで」これがもう、若尾文子様ですんで、

どんな田舎の村でも、お色気が~!!!

清作、周囲はこの娘と、と暗黙の相手がいたにも関わらず、

結局、お兼と想い想われ、くんずほぐれずの仲に・・・

 

 

 

もちろん大反対の母、妹を残し、家を出てお兼の家で同居を始める。

初めて愛する人と共に暮らせる日々が、お兼にとって、どれだけ大切か。

そんな中、日露戦争が始まり、清作も招集される。

 

 

 

半年がたち、負傷した清作が、一時的に村に帰還する。

しかし、すぐにまた、戦地へ発たなければいけない。

村人が集まって、「今度こそ、お国の為に死んで来い」と言う中、

母、妹に手伝われ、いでたちを整える清作。

 

 

呆然とするお兼。に一人しゃがみこんだ指先五寸釘が当たる。

ふらふらと清作が準備している部屋にお兼が入ってすぐに上がる悲鳴

お兼は五寸釘で、清作の両眼を突き出征出来ない体にする。

 

 

二年を刑務所で過ごしたお兼は、歓迎されるわけのないに向かう。

一種の『アンナ・カレーニナ』親戚作?で、愛のエゴイズム暴走って話

と、ここまで拝見。清作も「殺してやる~!!!」と叫んでました。

お兼も、一目会いたい、殺されてもかまわない、と帰ってきた。

 

 

この物語は、ここからの10分程度が、名作たる所以なのでしょう。

 

 

人の孤独、と言葉に書くと薄っぺらいけれど、

清作の語る言葉、ラストのロングショットはスクリーンに惹き込まれました。

また、母親が、最期に言い残す、障害がある親戚の男性を、

お兼は遺言通り、引き取り、面倒を見るんですね。

 

 

よけいな損得勘定や忖度のない彼が、純粋に二人を慕う

そこにも、世間の人を見る目が、いかに「情報」左右されているか、

大切なものは何か、を、じわじわと感じさせて頂けた名作でした。

 

 

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