「Viskninger Och Rop(叫びとささやき)」(1972)表現の世界 | 時は止まる君は美しい

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「ピエタ」は無心なればこそ?

 

イングマール・ベルイマン監督作品。(スウェーデン)91分

イングリット・チューリン様、ハリエット・アンデルセン様、リヴ・ウルマン様

カリ・シルヴァン様、エルランド・ヨセフソン様

 
 

 

今月いっぱいは、「後世に残って」いる名作を、観る!

という、突発的衝動で、馬車馬のように名作三昧しております。

 

 

しかし、はたと気付いたら、もうじき下旬

 

 

「名作」って、やはり「名監督」梯子酒連続なのね、

そう、実感すると、え?あと何日?あの監督もこの監督もまだだあ!

慌てた所で、手元にある作品にも限りというものが。

で、先般より、意外と画質悪くもない、自分録画DVD登場の秘策

かなり長いこと手付かずで部屋の片隅に眠ってたのが、

ようやく日の目を見ております。

 

 

 

今日は、ベルイマン監督を一作、是非、と思い、

「夏の夜は三たび微笑む」(1955)と迷って、でも、未見でいた、

「叫びとささやき」に決定し、拝見しました。

 

 

そして、ここでも、監督は「スタア」でありました。写真多し。

 
 
 
 

 

 

 

三姉妹次女アグネスが余命いくばくもなくなって、

イングリットと、ハリエットが、召使アンナと共に看病にあたっている。

 
 
 
 

燃えるように室内に、女たちの夜着が鮮やかにく、

4時の時を告げる時計の音に始り、動き出す彼女たちの姿は「舞台」のよう。

 

 

 

 

 

 

と思ったのが始まりながら、あっという間に、「映画」の中に惹き込まれ、

通常とは違う、異質な閉ざされた空間の中、錯綜する思い

 

 

 

 

アンナと三姉妹「叫びとささやき」釘付けに。

 
 
 
 

 

アグネスが亡くなり、となったアグネス泣き声が聞こえ、

姉、妹、アンナと、死者と対話していく。

 

 

 

部屋の外では、妹の願い、姉の拒絶、特殊な状況下での、

心の奥底に秘められた、常とは違う会話が成されていく。

 

 

 

葬儀の段になると、閉鎖されていた空間は、一挙に現実に戻って、

急に夫たち男性陣も現れ、財産の話しに。

 

 

 

 

アグネスの生きた想いは、形見辞退したアンナが、

こっそりと持ち出していた日記の中に残るのみ。

 

 

乱暴に粗筋を書くと、こんな感じで、姉妹の持つ問題、

あれやこれやが、クローズアップされ、女性としての彼女たちが描かれる。

死にゆく妹には、20年も前に亡くなった、

近寄りがたい(ウルマン様二役)への想いが語られたり。

 
 

 

 

 

 

アンナ幼い娘失った過去があり、

今、を迎えようとしているアグネスを一番、無心寄り添っている。

 

 

こと切れても「眠れないの、ここには虚無しかない」というアグネスの声を聞き、

病気で苦しんでいる時にしたように、乳飲み子を抱くかの如く、

素肌を合わせて「私はここに居ます」と、受け止めてくれる。ピエタの図。

 

 

彼女が遺した日記には、姉妹が来てくれて、調子もよかったので、

アンナと四人散歩に出かけた、時間が止まってくれればいいのに、という、

幸福を、自分は経験した。多くのものを与えてくれた人生に、感謝しよう。

・・・と綴られている。一瞬の、ほんの一瞬幸せ

 

 

久々に、拝見し終わったあと、頭の中が麻痺したような心持になり、

ぼう~っと、拝見し終わったばかりの作品から押し寄せる

それぞれの場面空気包まれて時間を過ごしました。

 

 

そして、ベルイマン監督が描く神父は、やっぱり怖い