「チャーリング・クロス街84番地」に見つけられるもの | 時は止まる君は美しい

時は止まる君は美しい

巡りあった美しい人達の記憶を重ねます・・・
B面ブログ「扉・鎧戸・宵の口」も始めました。

暑中見舞い書いたことある? ブログネタ:暑中見舞い書いたことある? 参加中

私はある派!

何も起こらないという、凄い一作


アメーバ様のお題は「暑中見舞い」ですが、
この映画、全く会ったことのない者どうしの、文通が20年に及ぶという話。



そして、特に本好きの方には、「解る!」の連続かもしれない、の連続です。
冒頭、英国に向かう飛行機でAnne Bancroft(アン・バンクロフト)様演じる作家が、
本屋さんで、「あんなに有名な本でも手に入らないの!?
アメリカ人は本を読まないの!?」とブチ切れられた過去の記憶に立ち戻る。
↓ 何だか、引退した後のグレタ・ガルボ様みたいな
アン・バンクロフト様。





あれ?これって、ここ数年、激化した、日本の本屋さんの、
「新刊書以外、置いてません」化にそっくりじゃない?と思いました。
で、彼女は、雑誌に広告が載っていたロンドンの古本屋さんに手紙を送る。




すると、想像を超えた、装丁に温かみがある、本好きには堪らない古書が、
驚くべき、安価な請求と、返事の手紙と共に届く。
そこから、注文と文通が始まり、お互い顔を見たことも会ったこともない同士の、
20年に及ぶ交流が始まる。




作家なだけに、ウィットに富んだ手紙なんだけど、ちゃんと、
言うべきことははっきり。私にはお金はありません、とか、
請求書はドルに換算して送れよ、とか、本の紙を包装紙に使うとは!とか。



返って来る手紙は、端麗な文章に、英国のユーモアを含んだ一筆。
次第に、書店の従業員皆が、アメリカの一顧客と、
手紙を通じて、親近感を覚えてゆく。この関係、解るわあ。


戦時下では物資のプレゼントが送られ、お礼は勿論古書。そして、「親しみ」。
あらら、これって、本屋さん問題と同じく、ブログで知り合った同志の、
共通の嗜好から始まる、仲間意識?とか、それをきっかけに始る交流と似てる?



こういう、人の心の関わりって、媒体は変化しても、変わらないものですねえ。
普通に暮らしているだけでは、絶対に接点がないもの同士に生まれる親しさ。
英国側の店主にAnthony Hopkins(アンソニー・ホプキンス)様。




奥さん役にJudi Dench(ジュディ・デンチ)様。
夫婦二人の食卓で、料理を一口二口食べた後、「おいしいね」と言う、
ホプキンス様が素敵です。デンチ奥さん、それ聞いて、嬉しい!って顔もしないのね。
これって、旦那の礼儀というか、口癖みたいなもので、
食事の度に言ってるんだと思う。






デンチ奥さんから、バンクロフト作家さんへの一通の手紙の中、
「あなたに嫉妬する気持ちもありました」って。
デンチ奥さんは、真面目一徹で、ユーモア感覚がないのね。
で、旦那と楽しい文通してる作家さんに、複雑な気持ちを感じるの。
自分にも、そういうセンスがあって、そんな会話が出来たらなって思うんでしょう。
映画全編、本当に、ある意味、何も起こらない。








生活も友達も、全く交わらない。
作家の友人の女優さんが、黙ってお店を訪れて、ちょっと悪戯するくらい。
流石、女優さん。この時は、ディオールのモデルのような装い。


最後に、チャーリング・クロス街84番地に遂に作家が訪れる時、
そこには、引き払った後、本なんて一冊もない。それもまた、よかったです。
そうやって、色々な事が移ろっていくのでしょう。



淡々と流れる時間。映画でそういう日常を描くと、それでもやっぱり、
親子の葛藤とか、夫婦の諍いとかあると思うけど、マジ何もないです。
でも、何か「好きなもの」がある人には、たまらない映画だと思いました。
(「好きなもの」が「本」なら尚更)
そかし、そんな「何も起こらない」映画だからこそ、名優さんじゃないと寝ますよ。
そしてエンドロール。




画面が中央で二分されて、英国側、アメリカ側のスタッフが並べて写される粋。
アン・バンクロフト様の旦那様、Mel Brooks(メル・ブルックス)様が、
制作に参加してらっしゃるのも嬉しい作品でした。



それにしても、パソコン生活になってから、すっかり筆不精に。
一筆箋がいいところ。いけないですねえ。
来年は暑中見舞い、書いてみましょうか・・・って、
その前に、年賀状ですよね。




こんなナマケモノみどりですが、

↓ よろしかったら、ぽちっとクリックしてやってくださいませ。
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村




暑中見舞い書いたことある?
  • ある
  • ない

気になる投票結果は!?