クローネンバーグ監督・「戦慄の絆」 | 時は止まる君は美しい

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巡りあった美しい人達の記憶を重ねます・・・
B面ブログ「扉・鎧戸・宵の口」も始めました。

ブログの絆?から、発掘。 


先日、「今日の美女姫」で、Geneviève Bujold(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)様に、

ご登場頂きました。派手なって女優さんとも違うんだけど、とっても印象に残る方。

で、頂いたコメントに、当作のことが。

1988年、David Cronenberg(デヴィッド・クローネンバーグ)監督、「Dead Ringers(戦慄の絆)」。

実家の整理をした時、移動させて来た、あっちに置いてあった自分の本の中に、

「あるわ~」と思って、昔を懐かしんだ?記憶も新しい作品。 





1975年7月19日、ニューヨークの著名な産婦人科医、スチュワート&セロ・マーカス兄弟が、

後一週間して、死体となってマンションで発見されたという、実際に起きた事件。

大変、絆が深く、進路も同じ、職業も、勤務病院も同じという45歳の一卵性双生児。



スチュワートは生涯独身、セロは一度の離婚があり、お子さんも二人いらしたそうです。

酷似した容貌の為、仕事でも、入れ替わりをしていた兄弟。

セロが沈静剤・バルビツールの中毒となった後、スチュワートがカバーしていたものの、

スチュワートも、同中毒にかかり、二人が最後に共同で行った手術は、

手の震えが止まらない状態だったと、立ち会った看護婦の証言が残されています。

死因は、大量摂取ではなく、急激な薬物絶ちによるショック死で、

事故とも自殺とも断定できなかった最期。 




その事件にインスピレーションを受け、ふたりの作家が執筆した小説「Twins」の映画化。

同じ年に、同じタイトルで、ダニー・ディビッド様&シュワルツェネッガー様ご出演コメディ封切。

そのあおりで、タイトルを変更するはめになったんで、本当は、「Twins」だったのですと。

確かに、同じ年に、あの映画とこの映画が同じタイトルで封切られたら、 

紛らわしいことこの上なかったでしょう。子供連れて間違ってこっちに入ったら大変。




エリオットとビヴァリーの双子を演じるのが、Jeremy Irons(ジェレミー・アイアンズ)様、

とんだ間違いで、ふたりともと関係を持ってしまう、特殊な子宮を持つ女優クレアに、

Geneviève Bujold(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)様。 




社交的で野心家の兄、エリオット。

どっちかっていうと、こっちのキャラ(顔)の方が多いか?ジェレミー・アイアンズ様。




内気な努力家の弟ビヴァリ―と、大変解りやすく、演じ分けてくださいました。

いや、公開当時拝見して以来、再見してないんで、うろ覚えなんですけど。

「運命の逆転」「ダメージ」等の、色っぽさ旬を迎えるぎりぎり前くらい。







ナルシストを演じて世界屈指のアイアンズ様、そりゃもう、大満足の配役でございましょう。

(?ある意味「演じて」ない?ま、役者さんですからねえ?)

役者に歴史あり?ここら辺が、このお方を花開かせるきっかけとなるに充分だったか? 




娼婦だったかな???に、本物の双子さんも登場。

「スキャナーズ」(1981年)「デッド・ゾーン」(1983年)「ザ・フライ」(1986年)、

「裸のランチ」(1991年)「M.バタフライ」(1993年・アイアンズ様熱演)等々の監督。

クローネンバーグ様、楽しんでる・・・ 







何もかもを共有し、秘密がない双子。 





何故か、アニメに作ってある画像が多い当作品。クローネンバーグ監督ファンのマニアックさ?





↑ アイアンズ様、ノリノリのナルナル演技。

↓ クローネンバーグ監督、ノリノリのグログロ撮影。  









ぎゃあああ、やめてくれろ。い・・・いや、こういうのあってこそのクローネンバーグ監督作品?





ううっ、今度注射する時には思い出しちゃいそう。

先生、駄目でしょ~、そんなイケナイことしちゃあ。



双子と気付かずに両方と関係を持ってしまうクレア。

双子にとっては初めてのお互いへの秘密。しかし、当然、やがてクレアの知る所となり大揉め。

それでも、このトライアングルは続く・・・ものの・・・兄弟それぞれが、心を蝕まれていく。 






せっかく、原作が出て来たんで、最後にクライマックス近くから、抜粋して拝読させて頂きます。

(ハヤカ文庫、日夏 響様訳)ここでは、兄がディビッドで弟がマイケル。ややこしい。


「お前を手ばなせるものならそうしたいよ。でも、できない」

「どうして」とマイケルはささやく」

「どうしてもできないんだよ。それに」とデイヴィッド。

「たとえ、ぼくがおまえを手ばなせたとしても、おまえは離れられないさ」

マイケルはなにかほかのことを訊こうと必死に考えるが、思いつかない。

しまいに、「少しでも努力してみようよ」

「うまくゆかないさ」確信にみちてデイヴィッドはいう。「ぼくが生きているかぎりはな」

デイヴィッドは自らの放った言葉にはっとして起き上がり、一瞬、二人は顔を見あわせる。

するとマイケルはいう。「いや、ぼくか兄さんか、がだよ、デイヴィッド。

なぜって、兄さんと一緒にいたら、ぼくは死んでしまうからさ」


「双子」、古今東西、色々な面で人を惹きつけ、様々な題材とされる存在。

そして、実際にも、相通じる何かがあると言いますが、

昔、お隣に住んでた双子さんは、いたってとっても普通だった。

文章、文学の香りって、独特のイマジネーションを、「双子」に与えるなあ・・・

ま、これを機に、もう一度、原作を読んでみましょうか。




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