再掲:第三百八十一夜・『Enchanted April(魅せられて四月)』 | 時は止まる君は美しい

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2014年12月16日

 

幸せってなんだっけ?そんなCMありましたね。

切なく始まり、穏やかにそれを教えてくれる一作。

 

踏み出す一歩から

 

第一次世界大戦後の雨がしのつく英国から始まり、

日差し溢れるイタリアはリヴィエラの別天地に移って繰り広げられる、

静かで切なく、そして温かい物語です。

 

 

 

 

原作がElizabeth von Arnim(エリザベス・フォン・アーニム)様。 

何と、Katherine Mansfield(キャサリン・マンスフィールド)様と、

従姉妹関係でらっしゃって、それだけでも記事になりそう。


 

 

 

 

オーストラリアご出身でらっしゃいますが、英国で育ち、プロイセンのお貴族様とご結婚。

なのでVonがつくんですね・・・どうも、でかいわんこ好き?


 

四人の、まるで違う環境、年齢、性格の女性たちが中心となり、

展開する物語。

 

 

 

 

 

 

 

その四人全員が名合在するのが感じられる肖像写真に魅せられます。




 

モノクロで既に映画化されていたようですが、そちらは未見。(観たい) 

 

 

ドラマ化、舞台化も色々ありそう。

 

 

 ここでは、1992年、Mike Newell(マイク・ニューウェル)監督作品を。


 

夫との夫婦の愛情を感じられなくなり、煩悶する主婦ロティ。

演じるは、Josie Lawrence(ジョシー・ローレンス)。 

彼女が、新聞広告で、地中海に臨む小さなお城を、四月いっぱい貸します、

という小さな記事を見つけるところから、「行動」がスタート!

おどおどと大人しかった奥さんが、勇気を出して暴走だ。

 

 

 

突然閃いて、もうどうにも止まらない状態のロティ。

教会で見かけていた、女性に声をかける。

「貴女もあの広告を見ていらしたでしょっ!?一緒にお城を借りましょう!」

声をかけられたローズはびっくり。

しかし、彼女も夫との関係に行き詰まりを感じている中、ロティの熱意が伝染。

ローズ役にMiranda Richardson(ミランダ・リチャードソン)様。

 

 

二人は、資金調達に、お城シェアする相手を二人募集。脱英国実行。 

一人は、社交界の華としてちやほや、もてもてにうんざり中の令嬢キャロライン。

 演じるは、Polly Walker(ポリー・ウォーカー)様。

 

 

 

そして、気位高い気難し屋の貴族の老未亡人ミセス・フィッシャー。

演じるはJoan Plowright(ジョーン・プロウライト)様。 

『101』や『ジェーン・エア』で女中役ぴか一、

本物貴族の称号を持つ、英国の市原悦子様?

っちゅーか、サー・オリヴィエの三人目の奥様。

 

 

さあ、てんてんバラバラな四人、憂鬱を抱いていた英国から日差し溢れるイタリアへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作者アーニムが、執筆の際、実際に居住したお城での撮影。

 

 

 


 

 

 

まずは部屋割り問題があったり、ご令嬢は孤独を死守して浮いてたり、色々。 

知らない者同士、ぎくしゃく遠慮や「・・・」なことが重なりもしつつ、 

花にあふれ、日差しに充たされる中、それぞれが次第に変化していく。

 

 

 

 

 

花と緑に潮の香り。

ここら辺の風景、そのまま、アガサ・クリスティものに使えそう。

 


 


 

 

ありきたりっちゃあそうなんですが、それぞれが抱えている問題も、 

こうして離れて一息つくと、新たな視点が生まれてきたりも。 

 

まず、言いだしっぺのロティが夫に招待の手紙を出す。

 

 

やって来た夫には、仕事上の下心があったりして「おいこら」?

でも人のお金もね、心があって動くものってこともあるんだよ。

 実はローズにほのかな想いを抱いていた城主もやって来る。

 

 

 

 

 

この城主、男性諸氏皆様が群がるキャロラインに対して、極めて淡々と普通。

キャロラインには、それが嬉しい。

実はこの城主、極端に視力が悪くて、キャロラインの美貌が見えてないのであります。

 

 

 

 

 

ロティとローズ、それぞれの伴侶との、冷めてしまっていたお互いへの気持ちは、 

お城の魔法の中、取り戻され、思いやりある心が復活。 


 

傲慢さは孤独の裏返しだった、ミセス・フィッシャーの心も、温かくほぐれて、 

車椅子が杖に、そして・・・ラストシーンのワンカットの美しさ、

 お写真が見当たらず残念でしたが、あの風景は、やはり映画を観てご覧になるのが一番?

 

 

いわゆる、「女性向け映画」ってジャンルかもしれませんが、 

いやいや、だからこそ、奥様が「日常」と化してしまっている、

旦那様諸氏にこそ、 お勧めの一本かもしれません。

 

 

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