パイから拳銃まで
久々に、リクエストを頂いての一夜であります。
ミッシーこと、Ｂａｒｂａｒａ Ｓｔａｎｗｙｃｋ（バーバラ・スタンウィック）様、
１907年7月16日～1990年1月20日、享年８２歳
びっくり仰天するような美女とは違う。
でも、お会いする度に、印象に残る役を演じられてて、
その振り幅が、同じ女優さんだと、気がつかないことがあったほど、
とてつもなく広い。「役者」が楽しいだろうなあ、という女優さん。
私的に、ミッシー様のチェックポイントは前髪なんだな。
伸ばしてらっしゃる方が、お似合いだと思うけど、
切ってらっしゃる方が、ヴァリエーションが楽しめます。
１５歳でジークフェルト・フォーリーズの一員となり、
２６歳で、ブロードウェイの主役に。
映画も、特にＦｒａｎｋ Ｒｕｓｓｅｌｌ Ｃａｐｒａ（フランク・キャプラ）監督とは、
５回、コンビを組んでらっしゃる。贅沢！
スクリューボールでの代表作は、残念ながらキャプラ監督作品
＿ではなく、Preston Sturges（プレストン・スタージェス）監督作品
「Ｔｈｅ Ｌａｄｙ Ｅｖｅ（レディ・イヴ）」詐欺師の役。
お金持ちのぼんぼんで、蛇学者の「カモ」が何とヘンリー・フォンダ様。
これは意表を突くキャスティングでした。
確かにコメディもされるけど、シリアスのイメージの方が強くて。
性格の良さは折り紙つきで、彼女が焼き立てのパイを手に、
仕事に疲れての帰宅を迎えてくれるような家庭は理想、
とまで言われたミッシー様。
撮影中や、広告用の写真の多いこと。
カメラが捉えた生き生きとした表情は、カメラマンとの信頼関係も
伝わって来るような気がします。
・・・それにしても、ヘンリー・フォンダ様、遺伝子濃い～。
ジェーン・フォンダ様、お顔、瓜二つですわ。
お話しは、何だかんだすったもんだの末、
意地を張り合っていた男女が、目出度く結ばれるって、定番。
それをいかに監督と役者の力で魅力的な作品にするかが、
スクリューボールの見どころ、楽しさ。
何と言っても、その年のＮＹタイムズが選ぶベストワンに、
あの「市民ケーン」を押さえて、輝いた一本。
ま、「市民ケーン」公開時は「市民権」に横やりが入ってましたけど。
この、一人二役に近い役での、真反対のテイストのご衣裳。
イーディス・ヘッド女史が魅せて下さいます。おされ。
着色写真の古色感も素敵です。
モノクロのオリジナルが、そりゃ一番ですが、
この着色ヴァリエーションも楽しい。「大人の塗り絵」みたい。
１９４１年、Ｈｏｗａｒｄ Ｈａｗｋｓ（ハワード・フォークス）監督作品
「Ｂａｌｌ ｏｆ Ｆｉｒｅ（教授と美女）」では、お固い教授たちに囲まれた、
ストリッパー役。お相手はＧａｒｙ Ｃｏｏｐｅｒ（ゲイリー・クーパー）様。
原案・脚本にＢｉｌｌｙ Ｗｉｌｄｅｒ（ビリー・ワイルダー）様がご参加。
「白雪姫」の艶笑版？
この強烈なご衣裳でのスチール写真、い～っぱいあります！
撮影、楽しそうなお二人の表情。
クーパー様とは、同年「Ｍｅｅｔ Ｊｏｈｎ Ｄｏｅ（群衆）」でも、ご共演。
前述の通り、演技の巧さに加え、性格の良さで、
男優からの共演リクエストも多かったとか。
それだけに、「きら星が如く」の男優陣とご共演されておられる。
自らの個性を確立しつつ、同時に相手役をもひきたてるって、
どちらかというと男優さんに多いタイプ？ミッシー様、ツワモノ！
あの激しいご衣裳での休憩中の一枚。何とも可愛い。
そして、１９４４年、Ｂｉｌｌｙ Ｗｉｌｄｅｒ（ビリー・ワイルダー） 監督作品
「Ｄｏｕｂｌｅ Ｉｎｄｅｍｎｉｔｙ（深夜の告白）」！！！
深夜に男が告白する、ファム・ファタールに惑わされ、人生を誤る話。
振り回される相手役にＦｒｅｄ ＭａｃＭｕｒｒａｙ（フレッド・マクマレイ）様。
「春を手さぐる」（１９３５年）ではキャロル・ロンバート様とご共演。
しかし、あまりにこの役の印象、強すぎなお方。
先だってより、自分がミッシー様を拝見した作品の順番を、
思い起こそうとしてました。初めは「群衆」かも。
これは、ストーリーとクーパー様の記憶が強く、
ミッシー様を意識して拝見したのはこの作品が始めてだったような。
そりゃもう、絵に描いたようなファム・ファタールもの
・・・だっただけに、スクリューボールを拝見した時は、
始め、同じ女優さんだと気がつかなかったくらい。
前髪で分かったけど。
この前髪が、ミッシー様らしくて、カメレオン女優さんだけに、
分かりやすくていいんです。ううむ、カーラーを外したばかりの
「サザエさん」的？前髪。
「誰がために鐘は鳴る」でヒロインが言う有名な名台詞、
キスする時に鼻は邪魔にならないの？を思い出す、前髪。
正面からキスしたらぶつかりそう？？？
こんな恐ろしい映画でも、現場は寛いだ空気。
１９６０年代、方向性の過渡期に於いても、
Ｅｌｖｉｓ Ｐｒｅｓｌｅｙ （エルヴィス・プレスリー）様とご共演なさってます。
プライヴェート、２度目の旦那様は、あの「椿姫」「哀愁」等の二枚目。
Ｒｏｂｅｒｔ Ｔａｙｌｏｒ（ロバート・テイラー）様。
御離婚後も映画共演されておられます。
彼の本格的デビュー作品でご共演された、
Ｗｉｌｌｉａｍ Ｈｏｌｄｅｎ（ウィリアム・ホールデン）様のことは、
作品にちなみゴールデン・ボーイと呼び、交流を持たれていらした。
ミッシー様の人生はハリウッドと共にあり。
１９８２年、アカデミー名誉賞
１９８７年、アメリカ映画協会・生涯功労賞
そのアカデミー名誉賞が、ホールデン様の亡くなられた翌年。
「彼が好きでした、亡くなって寂しいわ。
彼は私がオスカーを手にすることをいつも願ってくれていました。
私のゴールデン・ボーイ、あなたの願いが叶ったのよ!」
華やかな成功に対し、寂しいご最期でいらしたホールデン様。
せめてものはなむけの、ミッシー様の万感のスピーチでした。
↑ お芝居モード
↓ 素顔モード？ わんこさん達との表情も可愛いミッシー様。
嗚呼、ハリウッドが夢の生産工場だった時代に乾杯！