

まほろ駅前狂騒曲
三浦しをん
文藝春秋
2013年10月
1700円+税
ストーリー
多田便利軒の二人が帰ってきた



4歳の女の子「はる」をあずかることになった多田.
行天になかなか言えずにいた。
なんとか、はるをあずかり、三人の生活を始める。
しかし、やはり平穏な生活で過ごせるはずがありません。
バスジャックに巻き込まれ、HHFAと星たちとの攻防に巻き込まれ・・・
相変わらず、望まないのにいろんな面倒に巻き込まれてしまう多田便利軒なのです。
感想
前回の「まほろ駅前番外地」の最後のお話で行天の子どもへの異常な感情で終わったはず・・・その時に「子どもと関わる仕事は引き受けない」と多田は行天と約束したはず。
それなのに・・・
シイナが心配するくらいの尋常じゃない行天の子どもに対する恐怖心が前回感じられたんですよね。しかも、その状況で終わった・・・
鷲掴みですよ。
「どうした?行天!?」
そのあと、放置プレイだったのです。
満を持しての第3弾ですが、今回で終わりなのかな・・・という感じの内容です。
多田の亡くなった子どもへの思い。
人間に対する人間らしい感情が戻ってくる様子。
行天の過去に対する思い。
人間に対する人間らしい感情に近づいていく様子。
それに本人も気づいていく様子。
なんだか、いろんな心の動きが少し。
ほんの少しだけど前進したみたいです。
468ページと外見は強敵なのですが、引き込まれてしまうので、強敵ではなく、あっさり仲間になってしまうのです。懇願して仲間です。
あっという間ですよ。
そして、最後にふっと頬が緩みます。
よかったね、多田。
よかった、よかった、まほろのみんな。
(まほろのみなさんはおそろしいくらい自由な方々が多いんです。きっと、「よかったね」なんて言われても「はぁ?」って思うでしょうね

でも、終わりがとても幸せだったので、きっともう会えないんだろうなぁ・・・という印象。
それはそれでさみしいな。