3月からピアノを習っています。自分でもびっくりです。小1の時以来ですから、ウン十ウン年のブランクを経たピアノ再開です。
実は、ピアノという鍵盤楽器を習う前、幼稚園でオルガンを習っていました。自分が習いたくて習ったんじゃありません。今でもはっきりと覚えていますが、ある朝、母が「今日は幼稚園が終わったら家に帰らず、教室で待ってなさい」と言うので、「何で?」ときくと「何でも」と、何故か答えてくれない。まあ、親っていうものは、子どもに「何で?」と尋ねられて都合の悪い時やいちいち説明するのが面倒な時には「何でも」と答えることがよくあるんでございます。この「何でも」っていうのは非常に便利な言葉で、私もちょくちょく使います(笑)
話を元に戻します。で、母のいいつけどおり教室で待っていると、私の他にも訳が分からず待ってる子が何人もいて、そうするうちにオルガン教室の先生がニコニコと現れ、なんや知らんうちにいつのまにか習わされていたという感じでした。オルガンの先生は優しくて笑顔が素敵でいつもヒラヒラした奇麗なワンピースを着ていたので、「私も大人になったらヒラヒラのワンピースを着る!」と心に誓ってましたね。余談ですが、ずっと大人になってからその先生に再会したんです。「すぐに分かったわ。○○○ちゃんやね!」と、声をかけられた私は「あの~、失礼ですが???」。まさか、こんな小柄な中年太りのおばちゃんが、あのすらりとした美人のオルガン教室の先生だったとは!それは、「ウン十ウン年後の生徒の顔を見分けられる先生って凄い」と感心すると同時に、子ども心に憧れたヒラヒラワンピースの思い出が見事に打ち砕かれた瞬間でもありました(笑)
さて、オルガン教室はそれなりに楽しかったと記憶していますが、小学校に上がってから習い始めたピアノが良くなかった。先生が厳しくて怖いのなんのって。先生にも生徒にも笑顔なんてあったもんじゃありません。私は先生の顔さえも覚えてません。とにかく、音楽の楽しさのカケラも感じられないレッスンが厭で厭でたまらなかったことしか覚えてません。しかし、幸いにも一年ほどして我が家が遠くへ引っ越したため、嫌いな先生とピアノにおさらば出来ました。
そんな私が、何でウン十ウン年後の今になって嫌いだったピアノを再開しようと思ったのか。
実はずっと以前から、何か新しいことを始めたい、一生続けられる趣味として人生の楽しみとして自分が心から好きだと思えるものは何だろうか、と考え続けていました。10年以上続けた合唱団を昨年末で二つとも辞めたせいもあって、今年になってからその思いはさらに強まりました。今でも一番の趣味は音楽鑑賞ですが、新たに持つ趣味としてはこのような受動的な趣味ではなく能動的(生産的?)なのが良いなと。乗馬、楽器、絵画、陶芸、スポーツ...と候補はいろいろあったんです。そやけども、生産的な趣味を極めた結果、家中に下手な絵画や陶芸作品があふれかえるのはイヤ。その点、楽器っちゅうのは生産した物(演奏)が消えて無くなって残らんところがよろしい。たとえ下手でも、楽器が演奏出来たらきっと楽しい。それに、おそらく楽器を演奏するには勉強が必要で覚えることも多く、したがってかなり頭を使うことになるので老化した脳みそを鍛えなおすにはいい機会かもしれん。
ということで、楽器を習いたいという方向に固まりつつあったけれど、ドラムはスタジオでも無い限り自宅練習は無理だし、パーカッションは田舎なので教室が無いし(悲)、管楽器は演奏してる最中に声を出して笑えないし...(て、そんな理由ありか)、ギターは弦を押さえるのと弾くのをシンクロさすのが難しそうやし、...などと、ぐだぐだと考えるばかりで最初の一歩がなかなか踏み出せないでいたところ、そんな私の思いを後押しするきっかけを作ってくれたのが、友人Kさんと某音大出のピアノ講師Yちゃんでした。
数年前から、KさんとYちゃんによるピアノ連弾の専属譜めくり係として指名され、譜めくりをしながら2人の連弾を聴いてるだけで十分に楽しかった私。そんなある日、Yちゃんが『ねこふんじゃった』を様々にアレンジした曲を集めた楽譜本を見せてくれたことがあり、「ねこふんじゃったなら私にも弾ける」とYちゃんのグランドピアノで弾いてみた。そしたら、「なかなかしっかりしたタッチですね」(Yちゃん)とか「え?姐さん、ピアノ弾けるんなら習えばいいのに」(Kさんは何故かいつも私を姐さんと呼ぶ)などとおだてられ、ついその気になってしまった。というより、ようやく決心がついたというほうが正しい。音楽的知識が高くて素敵な演奏をする乙女で優しいYちゃんが先生なら、きっと楽しくレッスンを続けられる。そう思った私は、その場でYちゃんにレッスンを申し込んでいました。
今まではYちゃんと呼んでたけど、これからは○○先生とお呼びしなくては。でも、女子会とかその他レッスン以外の時は、今までどおりYちゃんと呼んでもええやんね?
子どもの頃にあれほど嫌いだったピアノが、今ではなんと楽しく面白いことか。こんなに楽しいんだったらもっと早く習うんだった。自分が弾きたいと思う曲もすぐに見つかってアマゾン河で購入しました。こういうことは素早いんです、私。が、しかーし!楽譜が届いてから判明したのですが、この曲、フラットが4つもついているじゃあーりませんか!しかも途中で転調してフラットが6つになってるし。これって何調?ああ~、こんな曲がちゃんと弾けるようになるのはいつのことやら。今の私ではまだまだ無理ですー。
あ、そうそう、肝心のピアノですが、自分なりにいろいろと考えた末、
カワイのアップライト。
国内工場生産品であること。
色は黒。
グランド型譜面台を採用していること。
消音装置付不可。
猫足不可。
という条件に基づいて自分で選びました。購入にあたってYちゃん先生割引が適用され無事に我が家にやって来たピアノは、なかなかの男前で音もいいので気に入ってます!初心者の私には勿体無いぐらいですが、このピアノに相応しい演奏が出来るように頑張って練習して早く上達したいです。
さて、うっとこの家の前の2軒のお宅に、それぞれ幼稚園年長と小学一年生の女の子がいてピアノを習っています。目下のライバル(私が勝手に決めた)である彼女たちの家から聞こえてくるピアノの音を聴く限り、今は私の方が勝ってると思う。そやけど、そのうちあっと言う間に追い越されてしまうんやろなあ...。
*どうでもいいオマケ(18禁)
アーティチョーク:「さあ、今から練習よ。用意はいいかしら?」(東京山の手に住む有閑マダム風)
男前ピアノ:「奥様、どうか御手柔らかに願います」
アーティチョーク:「あら、緊張してるの?可愛らしい坊やだこと。悪いようにはしないから安心して」
男前ピアノ:「あ、はい」
アーティチョーク:「でも、私はまだ初心者だから、間違えたり下手だったりするけれど許してね」
男前ピアノ:「いえいえ、僕の方こそまだ出来たての初心者ですから、調子が悪かったらすみません」
アーティチョーク:「それもそうだわね。私、一所懸命練習して上達するわ。そして、アナタを私好みのピアノにするの」
男前ピアノ:「お、奥様...?」