全5曲MARC DUCRETのオリジナル。ほとんどの楽曲に調性というものが無いように思えますし、しかもかなりハードで変態で予想のつかない展開がエキサイティング。作品全体を通して雰囲気はダークでシリアス。一部に夢幻的だったり不気味でおどろおどろしくなる場面も。最短でも9:39と楽曲はいずれも長尺でトータルでは72:48になりますが、一枚を通して聴いても全く退屈せず演奏にのめり込んでしまうのは、各人の創造的な閃きによるインプロヴィゼーションや瞬時の反応というインタープレイを織り交ぜながら、全曲において入念な構成とアレンジが施されているからではないでしょうか。繰り返し聴いても全く飽きず、聴くたびに新しい発見が出来るような、懲りに凝った音作りになっています。
録音が良いため、1曲目の途中で拍手と指笛ピーピーが聞こえてきて初めてライヴ録音だったのねと気づいたのですが、本作には2007年11月にアヴィニョンのDELIRIUMで、2003年4月にL'AUDITORIUM DU THORで行われたライヴが収録されています。
MARC DUCRETの作編曲の腕もさることながら、これほどまでに完成度の高い演奏をライヴで可能にするバンドの力量はほんまに凄いですわ。特にドラマーERIC ECHAMPARDの存在なしには、この一体感あるバンドサウンドは成り立たないのではないでしょうか。私は彼のソリッドで構築的で迫力満点のロックなドラムを聴いているだけでもう大大大満足です(笑)
本作は全曲が聴き応え満点で文句なしの出来。特に気に入ったのは、1曲目のTOTAL MACHINEと、最長の26:17にもなる5曲目のNOUVELLES NOUVELLES DU FRONT。本作は今年聴いた新譜のベスト10入りでしょう。
■MARC DUCRET / LE SENS DE LA MARCHE (Illusions Music ILL 313004)
MARC DUCRET (g)
BRUNO CHEVILLON (b, el-b)
BRUNO CHEVILLON (b, el-b)
ERIC ECHAMPARD (ds)
ANTONIN RAYON (p, Fender Rhodes, clavinet)
PAUL BROUSSEAU (Claviers, samplers)
TOM GAREIL (vib, marimba)
MATTHIEU METZGER (as, ss)
HUGUES MAYOT (ts, bs)
YANN LECOLLAIRE (cl, fl)
PASCAL GACHET (tp, flh, bass trumpet)
JEAN LUCAS (tb)
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