「荒井良二 スキマの国の美術館 -ロマンチックワールド-」 | 晴れ時々ジャズ

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20日(土)は、絵本サークルのメンバー、くっちゃ寝さん 、ぴょんこさん、Nonさんと私の4人で、「荒井良二 スキマの国の美術館 -ロマンチックワールド-」展へ行ってまいりました。

私は、絵本作家の荒井良二について詳しく知っていたわけではありません。実際に手にとって読んだことがある絵本は『そのつもり』の一冊だけでした。絵本サークルの月例会で、くっちゃ寝さんが紹介する絵本の中に荒井良二の描いた魔法使いの絵があって、それがとても印象に残っていたのですが、その後すぐに新聞で「荒井良二 スキマの国の美術館」展に関する記事を読む機会があって興味を覚えたので、ぜひ観に行きたいと思ったんですね。

会場へ到着すると、まずは入り口のポスターに釘付け。思わず「可愛い♪このポスター、欲しい!」と声に出ました。でも、どこに貼るんだ?(笑)


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ちょっぴりワクワクしつつ場内へ一歩入ると、目の前は絵本やキャラクターグッズでいっぱい。ここで早くも4人のテンションは一気に上昇。「きゃ、カワイイ♪」を連発するやら「あーん、これ、売り切れやん」とガッカリするやら、「どれにしようかな~」と迷うやら、静かだった会場入り口に、しばしのあいだ黄色い声(?)が響き渡っていたのでした。

さて、展示内容は、絵本の原画を中心に、雑誌の表紙のために描かれたイラストレーション、旅先でのスケッチ集などなど充実した見ごたえのある内容となっていて、じっくり鑑賞すると軽く2時間はかかりそう。それにしても、こういう田舎の美術館は人が少ないのがいいですね。私たち以外には二組の親子連れがいるだけだったので、静かな雰囲気のなかでゆったりと鑑賞することが出来ました。

荒井良二の場合、まるで子供が描いたような下手なのか上手いのかよく分からない自由奔放な絵といった第一印象を受けるかと思いますが、実際にこれだけ多くの作品を観てみますと、独特の世界観があって凄く面白かったです。鉛筆による大まかな下書きの線がそのまま残されているようなところや、絵の具を勢いよく塗りたくったところや、テキトーに書きなぐったかのような線があったり、コラージュを用いたりと、実に無邪気で大胆。かと思えば、丹念で繊細と感じるところも。カラフルでポップでユーモラスで可愛らしいのだけれど洗練され過ぎておらず、ある種の田舎臭さや泥臭さを感じさせるユルい雰囲気が漂っているせいか、見る者に安心感を与えてくれます。文章は、直接的な言葉で表現されないけれど伝わってくるものがあり、読むとほっとして優しい気持ちになれたりします。もしかすると、彼は優れた詩人なのかもしれないし、絵本やイラスト以外の異分野でも多才な表現が出来る人なのかもしれないと感じました。

ここへ来るのは少し遠かったのですが、来て良かったです!もう少し近くだったら何度でも通って作品の一点一点をじっくり鑑賞してみたい。そうすればきっと、その度に新たな発見があるに違いないと思わせる、そんな原画展でした。と、ここまで書いてみましたら、チャンスがあればもう1回行ってみてもいいなと真剣に考えている自分がここにいます(笑)


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荒井良二の公式サイトはこちら。
http://www.ryoji-arai.info/

「荒井良二 スキマの国の美術館 -ロマンチックワールド-」の会期は7月12日(日)まで。
兵庫県立円山川公苑美術館のサイトはこちら。