*ちょっと遅くなってしまったが、せっかくなので書くことにした。ただし、たいしたことは書けないので悪しからず(;^_^A
何故か今年も抽選に当たってしまったので(遠くに住んでる人ほど当たりやすいのか?)、11月4日(日)はギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル2007へ行ってきた。

早朝6時に家を出て在来線の特急と新幹線のぞみを乗り継ぎ東京へ。丸の内線でドアが閉まる寸前の電車に飛び乗り、最短コースと最短時間でちゃっちゃと移動したものの、銀座4丁目交差点に到着したのは開場の30分前。家から東京まではけっこう遠いんである。そのうえ今回は夫を道連れに出来なかったので一人寂しく...。
ここ日本において、ERIC LEGNINIとSTEPHANE BELMONDOの演奏を生で聴ける機会などそうそうあるわけではない。今年はモーションブルー横浜のERIC LEGNINI TRIO公演もあったけれど、結局は行けずに予約をキャンセルした。例によって大げさに言うならば、「今聴いとかな一生聴かれへんかもしれん」という思いに突き動かされたわけだが、いったいこれで何枚のCDが買えるんだ?という交通費と、CD10枚はゆうに聴けるぜ!という時間を費やして、とんぼ返りで1時間そこそこの無料ライヴを今年も聴きに行った私は...アホかもしれん(笑)
座った席は前から5列目の真ん中へん。最初はトリオによる演奏だったがタイトルは分からずじまい(あとでLEGNINIが新しいブーガルーだよとか言っていたが)。ドラムのFRANCK AGULHONが冒頭で僅かにコケそうになったものの(苦笑いでごまかしていたが)、ノリのよい60年代ブーガルーふうの曲はつかみとしてはバッチリかなと思いつつ聴いていたら、ステージ袖の暗がりをLLサイズの男性がスーツの上着からワイシャツの裾出しっぱなしでウロウロ。「ほらほら、そこの人、暗がりでも巨体が動くと目立つのよ。目障りだからステージの袖でウロウロはやめよう。それからぁ、シャツの裾はちゃんとズボンに入れる!」と、口うるさい母親みたいにツッコミを入れてしまった私(もちろん心の中で)。が、すぐにそれがSTEPHANE BELMONDOだと気づいてなんだか急に可笑しくなってしまい、顔もろくに見ないうちからBELMONDOさんにえらく親近感を持ってしまった私であった。
ERIC LEGNINIの凄いところは、まず鍵盤のタッチではないだろうか。比較するとはっきり分かるが、彼の生命力漲る生き生きとしたタッチを聴いたあとで他のピアニストを聴くと死んでいるように感じることもしばしばで、凡百のピアニストとは一線を画している。テクニックにしたって、上手いと巷で騒がれているピアニストでさえ下手に聞こえてしまって困るほど。だが彼のタッチの素晴らしさをこの会場で堪能するのは無理というもので、ドラムの音が前に出過ぎて少々うるさく、スネアの響き線がピアノの音にいちいち反応してビリビリ鳴ってしまうし、3つの楽器のなかでは肝心のピアノの音が最悪。ということで、今日はただ理屈抜きに演奏を楽しむことにする。
いよいよSTEPHANE BELMONDOが登壇したとき拍手が少ないと感じたけれど?私などSTEPHANE BELMONDOが生で聴けるというだけでもう指笛ピーピー吹きたいぐらいに嬉しかったのだが、指笛吹けないのでいっぱい拍手してあげた(指笛、上手に出来るようになりたーい!)。
ちゃんと覚えていないが、最初の曲の他に演奏したのは、新譜のBIG BOOGAROOからがほとんどだったと思う。オリジナル曲のBIG BOOGAROO、SOUL BROTHER(アルバム中これが一番好き)、他人の曲のWHERE IS THE LOVEなどで、1曲だけスタンダードナンバーのDREAM(と言っていたが?)を。その気になればその場で踊れちゃうような楽しい曲が多いのだが、まあ、こういう場所でノリの悪い日本人が踊るとなるとよほどのことがない限り無理!(笑)それにしても聴衆の反応がいまひとつのような気がして、彼らのファンとして別に感じなくてもいい責任のようなものを感じてしまった私(笑)は、アドリブに対する拍手も率先して積極的にしてみたつもりだが、やはり今日の聴衆はノリがよろしくない。素晴らしい演奏を披露したプレイヤーに対して拍手で賞賛の意を表明すればよく、ただアドリブがすんだからといっていちいち義務的に拍手する必要はないけれど、LEGNINIが後半にあれだけグルーヴィーなアドリブを弾きまくってもだあれも拍手しようとしないのは何故だ?演奏に聴き惚れるあまり拍手を忘れるという場合もあるが。それでもFRANCK AGULHONのドラムソロのときにはみんな拍手していたね。私はしなかったけど(笑)MATHIAS ALLAMANEの長いベースソロはよく歌っていてなかなか良かったので大きな拍手を送る。
ステージの前半はそうでもなくてなんだかピンとこなかったが、後半あたりからLEGNINIのアドリブも冴えてきてだんだん乗ってきた。体も指もごついのでピアノが小さく見えてしまう。何の曲か忘れたけれど、どこか中東あたりを思わせる不思議な音階で始まり、それが多彩に変化しながらどんどん展開する長ーいイントロを披露してくれて、今更ながらLEGNINIの才能とひらめきに感心してしまった。彼はバッキングもめちゃくちゃ上手い人なのだが、今回はSTEPHANE BELMONDOさんに聴き惚れていてそれどころではなかったかも(笑)このライヴでは、音響が悪かったからなのかなんとなくERIC LEGNINIのピアノを存分に堪能出来ず、私はむしろSTEPHANE BELMONDOの演奏に注目してしまった。
どきどき大きな掛け声を出してバンドの演奏に活を入れるSTEPHANE BELMONDO。スーツを着てはいるが、ワイシャツは裾が出しっぱなしなのと襟を中へ折り込んで(?)いびつなVネックにしてしまっているので絶妙なカジュアル感とだらしなさが漂っている。BELMONDOのこういういでたちは、一部妙齢のご婦人方の母性本能を掻き立ててしまったかもしれない(笑)フロントに立ち、アドリブに熱が入ると顔が赤く染まって寄り目になっちゃうところが可愛い。動作はいちいちスローだし、歩き方もクマかゴリラの二足歩行を思わせるところがなんとなくユーモラス(笑)
彼は、もちろん豪放磊落なスケールの大きい吹き方も出来る人で速いパッセージをエキサイティングに吹くところも良いけれど、私はむしろ彼独特の多彩で繊細な表現の方が気に入っている。曲によって持ち替えていたフリューゲルホルンはもちろん、トランペットの音もたいへんまろやかでキンキンと耳障りなところは一切無い。装飾音のつけ方もごく自然でセンスが良いし、メロディをストレートに吹いても決してイモにならない。また、音に繊細なニュアンスをつけるのがめっぽう上手いので演奏が実に味わい深くて、じっくり聴いていると心が休まる。私は、そんなSTEPHANE BELMONDOの演奏がとても好きだ。今日は生で聴くことが出来て本当に幸せ!
終演後のサイン会に現れたのはERIC LEGNINIだけだったのがちょっと残念。
「ボンジュール・ムッスィユー・レニーニ。グラッ・トゥ・ミーチュー」と、英仏チャンポンで挨拶して握手してもらう。
にこやかに笑っているLEGNINIさんを間近で見ると、とにかく羨ましいほどの“もち肌”(笑)サインの上に何やら文章を書いてくれたがなんと読むのだろう。「Please groove !」 かな?そのあとが分からない。
終演後のサイン会に現れたのはERIC LEGNINIだけだったのがちょっと残念。
「ボンジュール・ムッスィユー・レニーニ。グラッ・トゥ・ミーチュー」と、英仏チャンポンで挨拶して握手してもらう。
にこやかに笑っているLEGNINIさんを間近で見ると、とにかく羨ましいほどの“もち肌”(笑)サインの上に何やら文章を書いてくれたがなんと読むのだろう。「Please groove !」 かな?そのあとが分からない。
LEGNINIさんが、別れ際、愛想よく「Ciao, ciao !」 と手を振って挨拶してくれたので、内心「何でイタリア語なんやろ???」と思いつつ「バイバイ!」と手をグーパーしながら立ち去った私。が、よくよく考えてみればLEGNINIとはいかにもイタリア人らしい名前だ。何で今までこれに気づかなかったのか自分でも不思議だが、彼はきっとイタリア系なのだろう。それにしてもSTEPHANE BELMONDOにも会ってサインを貰いたかったな~。
山野楽器を出て、BOULOU & ELIOS FERREのショップライヴが行われる松坂屋の屋上へ急ぎ足で行ってみた。が、思ったとおり会場は既に人で埋め尽くされていて、ステージは全く見えない状態。強く照り付ける西日をチラシで遮りながら立見席の最後尾で1曲だけ演奏を聴いた。私のいる場所が落ち着いて演奏を聴く雰囲気ではなく音響が最悪だったことと、人波の隙間からBOULOU FERREの特徴的なおでこがチラリと見えたことでなんとなく納得してしまったこともあって(笑)CDを購入して帰ることに。販売員の男性が「あとでサイン会がありますよ」と親切に教えてくれたが、「終演までいると新幹線に間に合わないので」と言い訳をして会場を後にした。BOULOU & ELIOS FERREの演奏はぜひ聴きたかったが、あそこにいるよりも家のオーディオでゆっくり落ち着いてCDを聴くほうがずっといい。
そういえば今日は昼抜きだったなと思い、エネルギー補給のため銀座の大通りから横道に入って最初に目についた喫茶店へフラリと入った。コーヒーも美味しかったが、フロマージュブランを贅沢に使ったと思われるケーキ(名前忘れた)が、ちゃんとチーズの味がしたしフランボワーズなどのベリー類がたくさん乗っていて、めっちゃ美味しかった!
今年で3回目となったギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバルのジャズイヴェントに関しては、会場の音響等々問題点もいろいろあるようだが、現在最も注目すべき海外のアーティストを招聘して日本の聴衆に広く紹介するという点においてその意義は大きいと思う。ただ私としては、ちゃんと料金を払ったうえで、しかるべき音響の整った会場でジャズを堪能したいと望んでいるので、銀座の無料ライヴと並行する形で、小さくてもいいからどこか別のちゃんとした音響設備を備えたホールで有料の公演を行っていただけると嬉しい。
とはいえ、このところ何かと気ぜわしくてなかなか自分の時間が持てなかったし、事情もあってギリギリまで東京行きを決めかねていたので、今日銀座へ来ることが出来たのはとてもラッキーだった。たとえ短い時間ではあっても、自分のお気に入りのアーティストを間近で見、生の演奏に触れることが出来るのは、何物にも代え難い幸せな体験だ。
ありがとう銀座。来年も期待してるぜ!
出演 : ERIC LEGNINI QUARTET
ERIC LEGNINI (p)
STEPHANE BELMONDO (tp)
MATHIAS ALLAMANE (b)
FRANCK AGULHON (ds)
日時 : 2007年11月4日(日) 午後1時開演
会場 : 山野楽器銀座本店 7F JAM SPOT