アトリエ澤野スペシャル JEAN-PHILIPPE VIRET TRIOのコンサートへ行ってまいりました。ライヴリポートなどという大層なタイトルを付けておりますが、いつものように大したことは書けません(^_^;)
昨年出来たばかりという兵庫県立芸術文化センターは、大、中、小のホール 、本格フレンチレストランなどを擁し、たっぷりした空間を生かした瀟洒な建物です。正面エントランス中央には大階段、右手にエスカレーターがあり、階段とエスカレーターの間のフロアには色といい形といい“おたふく豆の煮物”にそっくりの巨大なオブジェが一個転がってました(笑)
木をふんだんに使用した小ホールは、417席でステージを客席が取り囲むアリーナ形式。最前列のお席ですと出演者との距離は3メートルぐらいでしょうか。とてもステキなホールです。音響の良さそうな内装といいキャパといい、ここでしたらPA無しの生音で演奏を聴くのも可能なのではと思いましたが、いろんな事情でそういう訳にもいかないのでしょう。けっこう空席が目立ちましたが、東京公演ではどうだったのでしょうか。
*写真撮影に際しては許可をいただきました
最初の1、2曲目あたりはけっこう繊細な印象の演奏が続きましたが、3曲目あたりからしだいにトリオの演奏が一体となるのを感じました。聴衆は一心に聴き、プレイヤーはけっこうリラックスという感じだったような気がします。
演奏中のJEAN-PHILIPPE VIRETは、常に沈着冷静で熱くなるということがないのですね。難易度の高そうな演奏も涼しい顔でこなしているといった印象で、アルコの上手さなどは、やはりさすがだと思いました。MCをするときのJEAN-PHILIPPE VIRETは、いかにもジェントルマンという感じでしたね。
そんなVIRETとは対照的に、ANTOINE BANVILLEがピアノのEDOUARD FERLETに鋭く反応してフレーズを繰り出すときの表情といったら、もう楽しくて楽しくてしようがないといった感じのニコニコ顔なのです。そんなアイコンタクトを受けたピアニストのFERLETも「まったくしょうがないヤツだなあ」といった感じで笑い返しているような気がしました。CDで聴いている限りではシリアスな印象の曲が多いだけに、ライヴで見せるBANVILLEのそんな表情を知ることができて面白かったです。また、BANVILLEはおっちょこちょいなのかどうなのか、FERLETの繊細なピアノの最中にうっかりパーカッションを持ち上げてチャラチャラ音を出したときには、顔を見合わせたVIRETと一緒に苦笑いしてました。パーカッションも鈴とかカラカラ音の出る楽器(こちらからは見えなかったので正体が分からず)など使用していましたが、面白いなあと思ったのが拍子木です。ジャズのライヴで拍子木というのは初めて見ました(笑)アップテンポで演奏が激しくなると、ベース音が埋没してしまうのが少々残念でしたが、これは仕方ないことなのかもしれません。
今回のライヴで少々意外だったのが、アドリブ奏者をたたえる拍手が一切無く(というか、そもそもそういうタイミングもなかったような)、指笛ピーピーや掛け声などがひとつも出なかったことです。もともとこのトリオの曲の構成や演奏がそういったことを誘発しない性質だからかもしれないのですが。だからという訳ではありませんが、CDでは体験出来ない“何か”や“興奮”のようなものをライヴに期待する者としては少々物足りなかったかなあという感じがしないこともなかったです(^_^;)
とはいうものの、JEAN-PHILIPPE VIRET TRIOの演奏そのものは素晴らしかったので、ハードスケジュールを縫って聴きに行けたのは幸いでした。
コンサートは20分の休憩を挟んだ2部制で、小ホールを出たところに演奏曲目が張り出してあったので書いておきましょう。
第1部
MADAME LOIRE
PAR TOUS LES TEMPS
LE BATARD
TROIS JOURS DE TREVE
A PLUS D'UN TITRE
第2部
PING-PONG
IODE 131
UNE VIE SIMPLE
DERIVES
ZAZIMUT
アンコール
SILENT NIGHT (traditional)
CD売り場で「CDを買わないとサインしてもらえないのでしょうか。このトリオのCDは全て持っているのですが...。」とスタッフに質問していると、代表取締役の澤野さんが横から「別にCD買わんでもサイン会の列には並んだらええねん。CDよりサイン帳にサインする方が、アーティストにとってみたらむしろ嬉しいもんなんとちゃうかなあ。」と言ってくださいました(澤野さんて、やはりいい人ですよね~)。でも、一応持っていないCDを買って列に並びました。
左はEDOUARD FERLET参加のユニットのCDです。彼らがこのツアーのために持参したもので、日本ではライヴ会場でしか販売していないアイテムだそうです。
夫がサイン会の様子を撮影してくれました。
アーティチョークの下手な英語を理解しようとしているANTOINEさん
サインの上に「MATANE」と書いたのに思わず笑ってしまったら、JEAN-PHILIPPE VIRETは握手のときに、いたずらっぽくウィンクしてくれました。キャッ♪(笑)
EDOUARD FERLETのサインの上には何て書いてあるのでしょうか???3つの力強い“点”には彼の几帳面さが現れているような気がします(笑)
ANTOINE BANVILLEは、サインを書いてからしばし考え、その下にちゃめっぽく曲線を付け足すと私のほうを見て「フフフ」と笑ってくれました。
先日記事に書きましたが、ANTOINE BANVILLEがリーダーのユニットILLINXについて「CDはいつ出るのですか?」と質問してみたところ、残念なことにその予定はないとのことでした。でも、彼は自分のことに関心を持ってもらえたことを喜んでくれたようで、とびきりの笑顔を見せてくれました。
御用とお急ぎでないかたは、JEAN-PHILIPPE VIRETのHPへどうぞ。
http://www.viret.com/
EDOUARD FERLETのHPはこちら。
http://www.ferlet.com/
こちらは兵庫県立芸術文化センターのHP。
出演 : JEAN-PHILIPPE VIRET TRIO
JEAN-PHILIPPE VIRET (b)
EDOUARD FERLET (p)
ANTOINE BANVILLE (ds)
日時 : 2006年12月15日(金) 午後7時開演
会場 : 兵庫県立芸術文化センター 小ホール (兵庫県西宮市)