JEAN-MICHEL PILC(1960年、パリ生まれ)のことは、ANDRE CECCARELLI(ds)のリーダー作、FROM THE HEART(Verve)で演奏を聴いて初めて知りました。強靭なタッチとアクロバティックな運指にまずびっくり。卓越したテクニックのみならず確かな表現力と、シニカルで乾いたユーモアをちりばめた独創的な演奏はひときわ異彩を放っており、この人は只者じゃないと感じたものです。さっそくリーダー作を何枚か手に入れ、運良く来日公演へも行くことができました。
本作はJEAN-MICHEL PILCの7枚目となるリーダー作で、2004年10月にニューヨークのIRIDIUM JAZZ CLUBで行われたライヴを収録したもの。14曲のうちTHELONIOUS MONKが4曲、JOHN COLTRANEが1曲、オリジナルが9曲となっています。
THOMAS BRAMERIE(1965年9月18日生まれ)もANDRE CECCARELLIつながりということで私にとっては馴染みのある好きなベーシストなのですが、ドラマーのMARK MONDESIR(1964年生まれ)の演奏を聴くのは今回が初めてです。
本作はJEAN-MICHEL PILCの7枚目となるリーダー作で、2004年10月にニューヨークのIRIDIUM JAZZ CLUBで行われたライヴを収録したもの。14曲のうちTHELONIOUS MONKが4曲、JOHN COLTRANEが1曲、オリジナルが9曲となっています。
THOMAS BRAMERIE(1965年9月18日生まれ)もANDRE CECCARELLIつながりということで私にとっては馴染みのある好きなベーシストなのですが、ドラマーのMARK MONDESIR(1964年生まれ)の演奏を聴くのは今回が初めてです。
1曲目のNO PRINTは来日公演でも演奏していましたが、あのときはWAYNE SHORTER作曲のFOOT PRINTSそのものを演奏しているものとばかり思っていました。後日、鯉沼ミュージックのメールマガジンで演奏曲目が分かって「あら、そうだったのね。」と思ったのですが、本作のアレンジはさらに進化し、ずっとひねりが効いていて刺激的。ピアノがゴッドファーザーのテーマをチラリと...気のせいでしょうか。
2曲目から4曲目まではMONKの曲を立て続けに。
2曲目のJACKIE-ING PART 1ではMARK MONDESIRが歌いながら(かすかに聞こえる)叩いておりますが、素晴らしいドラミングをする人ですね。ピアノでRHYTHM-A-NINGのテーマも飛び出しました。
3曲目のMISTERIOSOでベースがMY FUNNY VALENTINEのテーマをチラリと...これはたぶん気のせいでしょう(;^_^A
4曲目のGREEN CHIMNEYSでは、STRAIGHT, NO CHASERやらDUKE ELLINGTON作曲のIT DON'T MEAN A THINGまで飛び出すという出血大サーヴィス。ジャズ初心者の私にはこれぐらいしか分からないのですが、探せばもっとたくさんあるのかもしれません。
と、このように1曲目のNO PRINTから5曲目のJACKIE-ING PART 2まではノンストップ(編集してあるのかも)で一気に聴かせますが、演奏そのものは、そらもうエキサイティングでエライことになっております。
本作で一番のお気に入りは、6曲目のMOONLIGHT WITH MというタイトルのJEAN-MICHEL PILCの奥様MURIELに捧げられた曲。そういえば来日公演のステージで、「僕は最近結婚したんだ。MURIEL(ミュリエル)といってね、彼女はフルート奏者なんだよ。」と嬉しそうに話していました(こんな凄い演奏をする人でもオノロケを言うんだなと思いました)。それにしてもこの曲は不思議な美しさをもった曲ですね。PILCに“静”と“動”の顔があるとすれば、これまでの“静”の魅力が昇華したかのような素晴らしい曲になっていす。繊細なタッチのピアノは実によくコントロールがきいていて確かに美しいのだけれど、ピアノの左手とベースでドスの利いた凄みも感じさせて、どこか神秘的でただならぬ雰囲気も。これからはこういう曲をもっともっとたくさん演奏してほしいな。
9曲目のMR. RGはPILC作曲によるROSARIO GIULIANI(as, ss)に捧げられた曲で、JEAN-MICHEL PILCも参加していたROSARIO GIULIANIのリーダー作MORE THAN EVER(Dreyfus Records)に入っていたのと同じです。PILCのピアノがこれでもかーって感じで攻めまくりますが、ドラムスとベースがしっかり支えていてさすがです。あ~、素晴らしい。
12曲目のIGNITIONは凄い演奏なのに途中でフェイドアウトしてしまうのが残念。フェイドアウトやフェイドアウトふうのエンディングは好かんのです。ハイ。
JEAN-MICHEL PILCはいろんな作品で聴かせていたトレードマークのフレーズ(クリシェ)をここでも連発していて、「あ~、またやってるな。」と思ってしまいましたが、まぁ、こんなのは誰にでもマネ出来るようなモノではないので、これはこれで良いのかもしれません。
このライヴ盤はPILCの個性がよく出ていますし、息の合ったトリオの演奏も鬼気迫るといった感じで素晴らしいんじゃないでしょうか。楽しく寛げる類の聴きやすいジャズとは一線を画すシリアスで刺激的な演奏は、人によっては刺々しさを感じて好きになれないかもしれませんが、JEAN-MICHEL PILCという人は非常にユニークで才能のあるピアニストの一人であることは間違いないと思います。
御用とお急ぎでないかたはJEAN-MICHEL PILCの↓ホームページへどうぞ。
http://www.jmpilc.com/
■JEAN-MICHEL PILC / LIVE AT IRIDIUM, NEW YORK (Dreyfus Records FDM 36 677-2)
JEAN-MICHEL PILC (p)
MARK MONDESIR (ds)
THOMAS BRAMERIE (b)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
2曲目から4曲目まではMONKの曲を立て続けに。
2曲目のJACKIE-ING PART 1ではMARK MONDESIRが歌いながら(かすかに聞こえる)叩いておりますが、素晴らしいドラミングをする人ですね。ピアノでRHYTHM-A-NINGのテーマも飛び出しました。
3曲目のMISTERIOSOでベースがMY FUNNY VALENTINEのテーマをチラリと...これはたぶん気のせいでしょう(;^_^A
4曲目のGREEN CHIMNEYSでは、STRAIGHT, NO CHASERやらDUKE ELLINGTON作曲のIT DON'T MEAN A THINGまで飛び出すという出血大サーヴィス。ジャズ初心者の私にはこれぐらいしか分からないのですが、探せばもっとたくさんあるのかもしれません。
と、このように1曲目のNO PRINTから5曲目のJACKIE-ING PART 2まではノンストップ(編集してあるのかも)で一気に聴かせますが、演奏そのものは、そらもうエキサイティングでエライことになっております。
本作で一番のお気に入りは、6曲目のMOONLIGHT WITH MというタイトルのJEAN-MICHEL PILCの奥様MURIELに捧げられた曲。そういえば来日公演のステージで、「僕は最近結婚したんだ。MURIEL(ミュリエル)といってね、彼女はフルート奏者なんだよ。」と嬉しそうに話していました(こんな凄い演奏をする人でもオノロケを言うんだなと思いました)。それにしてもこの曲は不思議な美しさをもった曲ですね。PILCに“静”と“動”の顔があるとすれば、これまでの“静”の魅力が昇華したかのような素晴らしい曲になっていす。繊細なタッチのピアノは実によくコントロールがきいていて確かに美しいのだけれど、ピアノの左手とベースでドスの利いた凄みも感じさせて、どこか神秘的でただならぬ雰囲気も。これからはこういう曲をもっともっとたくさん演奏してほしいな。
9曲目のMR. RGはPILC作曲によるROSARIO GIULIANI(as, ss)に捧げられた曲で、JEAN-MICHEL PILCも参加していたROSARIO GIULIANIのリーダー作MORE THAN EVER(Dreyfus Records)に入っていたのと同じです。PILCのピアノがこれでもかーって感じで攻めまくりますが、ドラムスとベースがしっかり支えていてさすがです。あ~、素晴らしい。
12曲目のIGNITIONは凄い演奏なのに途中でフェイドアウトしてしまうのが残念。フェイドアウトやフェイドアウトふうのエンディングは好かんのです。ハイ。
JEAN-MICHEL PILCはいろんな作品で聴かせていたトレードマークのフレーズ(クリシェ)をここでも連発していて、「あ~、またやってるな。」と思ってしまいましたが、まぁ、こんなのは誰にでもマネ出来るようなモノではないので、これはこれで良いのかもしれません。
このライヴ盤はPILCの個性がよく出ていますし、息の合ったトリオの演奏も鬼気迫るといった感じで素晴らしいんじゃないでしょうか。楽しく寛げる類の聴きやすいジャズとは一線を画すシリアスで刺激的な演奏は、人によっては刺々しさを感じて好きになれないかもしれませんが、JEAN-MICHEL PILCという人は非常にユニークで才能のあるピアニストの一人であることは間違いないと思います。
御用とお急ぎでないかたはJEAN-MICHEL PILCの↓ホームページへどうぞ。
http://www.jmpilc.com/
■JEAN-MICHEL PILC / LIVE AT IRIDIUM, NEW YORK (Dreyfus Records FDM 36 677-2)
JEAN-MICHEL PILC (p)
MARK MONDESIR (ds)
THOMAS BRAMERIE (b)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)