勉三物語リレーに参加を | 囲炉裏端のブログ

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伊豆・松崎町は、観光資源に恵まれているところです。町への思いを具現化するため、互いに情報交換をよくし、住みよい町づくりを目指します。

 今春、わが国屈指の政治家が、大沢温泉ホテル経営危機を救おうと来松された。現在、総選挙前哨戦中なので名をかくすが、これほどまでに勉三翁崇拝者である。私のような無名かつ貧相な老人の手紙に、反応してくれたのである。

 これぞ大政治家と呼ばれる所以は、自ら感動したことを秘書も介さず直接電話をくださる誠意と情熱をあわせ持つことだ。 あれは私が、勉三翁の生涯を綴った「風吹け、波たて」が、日本経済新聞文化欄に紹介された05(平成17)年で、現職大臣の身にもかかわらずにである。

 だが、この日が初対面で、ホテルの資料室でお会いする。テレビ写りとは違い、穏和な紳士で、強烈に政策を押し通す辣腕のイメージは全く感じられない。身の縮まる思いの私に笑顔で対してくださる。


 経営責任者である当主とは直前に話し合われたらしく、今後のことが話題となる。その中で氏が「物語をつくることだね」とつぶやくように言われる。一般的には物語とは、都合よく加工した「作り話」と解釈されるが、氏の思いは、各地の翁に対する思いをリレーして盛り上げる話題性つくりにある。その気運により、人と物が交流し、北海道・静岡県・伊豆(依田家)が隆盛となる計算である。氏は、差し迫った重大問題を解決することを約束して帰京される。無言であるが私に「良い物語」をつくるようにとの宿題を残して。

 私も燃え上がり、日本経済新聞には現状を訴えて寄付金を募ろうとの原稿を書く(ボツ)。また、これまでの体験で、勉三翁理解者と思われる方々に手紙を出す。だが受け皿、今後の運営の中身が知れない内容に、動きはあったものの形にならずじまいとなる。「ペンは剣より強し」を信じてやってきたものの、私の鼻はへし折られたのである。

 もし「物語」の中に、勉三翁や依田一族の記述が抜けたらどうなろう。町のみならず国家的損失である。建物はその象徴であり、歴史的物語遺産は消え失せるのである。

 私はその後、悶々たる日々を過ごす。少しだけ当主の相談に応じただけで動けなかった。このほど橋本敬之先生が主体となり、募金活動をしてくださることになった。振替番号00850-4120718・NPO伊豆学研究会「依田家住宅保存寄付」と明記、「勉三物語のリレー輪」に参加願いたい。 問い合わせ先:伊豆学研究会。