特に狙っていた訳ではないんですが、格好良かったのでつい買っちゃいました。



Doyle Shoe Co のサービスシューズ。

同社は1920年にマサチューセッツ州のブロックトンで創業、第二次世界大戦中の主要なミリタリーブーツのサプライヤーでしたが、1965年には会社を売却しています。



ラセットブラウンのプレーントゥ、生成りの出し縫いでヴィンテージオーラ満載。



6アイレットで羽根下はシングルステッチ



そしてサイドのステッチはダブル



ヒールはドッグテイル


このディティールからすると50年代っぽいサービスシューズですが、セラーからは40年代と教えてもらいました。


サービスシューズに詳しいサイトを調べてみると、

US.Army、USMCのブラウン系のサービスシューズに関しては40年代でもT字でないヒール、6アイレットが存在しているようです。

そして5アイレットなのは9 1/2サイズまでになり、それ以上のサイズのものは40年代でも6アイレットになるとのこと。

 

この靴はサイズが10 1/2ですし、上記の記述に全て合致しますね。


もっと確証を得たいので次はライニング表記から手掛かりがないかと。



上から


DOYLE SHOE CO
10 1/2C   7206   2
BOSTON W19-074
DEPOT QM4621

と判読できます。
残念ながらサービスシューズで良く見る製造年月日の表記はありません。

まずは4段目のQMの2文字
これまたサービスシューズに詳しいサイトを調べていると、
QMはQuartermasterの略で陸軍主計部隊が管轄する官給品の意味で40年代の支給品に付く表記とのこと。

早くも40年代ほぼ確定??
ただ、QM表記はジャケットで61~62年まであるので確実ではないような、、、

そこで、もうちょっと調べることに。
すると、
Uniforms of the US Army Ground Forces 1939-1945
という文献にこんな記述が。


ボストンの官給品で19-074は1943年7月以降のものと記載されています。

そして更にメーカーごとの詳細リストにDoyle Shoe Coもありまして、それがこちら

最後の2行に注目
今回のペアのライニング表記は
W19-074
DEPOT QM4621
なので、1945年8月から1946年の間に製造されたものと推定できそうです。

また、Doyle Shoe Coと同じマサチューセッツ州はSALEMにあったShelby Shoe Coに関する文献ではW-19-074-qm-4627は1946年5月21日にコントラクトされているので、今回のペアが1945年8月から1946年の間に製造されている推定の補強材料になるかと。

ということで、太平洋戦争直後に製造されたおよそ75年前のペア。


大量生産されていたはずですが、そこは流石ミルスペックというべきか、作りの良い靴。

因みにこの頃のArmy用のブーツは数年の試作を要したと云われている履き心地を追求したマンソンラスト。
短靴にも使われていたんでしょうか?

アウトソールを見ると、土踏まず部分が絞られ、トゥ付近に余裕がある形状。
実際に履いてみると、土踏まず付近がしっかりホールドされ、トゥがフリーになります。
これは好きな履き心地。

これがマンソンラストの履き心地だとすると、レッドウイングのアイアンレンジマンソンをはじめとする復刻マンソンも気になってきます。

でも今回のペアは復刻マンソンよりも安く、40年代のペアとしてはお値打ちな値段でした。いつもは手が出しずらい価格なんですが、状態も良いのに何故でしょうね?製造年月日がはっきりしないから?いや、詳しい方なら分かってそうですね。


今回、このブログを書くうえでサービスシューズについて色々調べていましたが、奥が深い。
ビン靴でもこの分野に踏み込んだら更なる沼にハマりそうなので程々にしておかないと、、、