経済と植民地って

 

歴史の授業でよく「植民地」という言葉を聞いたと思います。イギリス、フランス、アメリカなどの世界の列強国はたくさんの植民地を持っていました。日本も朝鮮半島を植民地支配しました。ではなぜ、列強国は植民地がほしかったのか。それは資源(石油)の確保や防衛・外交的な事情などいろいろな理由がありますが、最大の目的は「市場がほしかったから」です。市場とは「お客さん」という意味です。つまり、「今、自分の国は不況でお客さんが誰もいないから外国の人(植民地の人々)に買ってもらおう。そうすれば儲かるぞ。」ということです。江戸時代末期に列強各国が日本に来て「開国しなさ―い」といったのは、自分の国の商品を売って儲けたかったのです。ここで、「なんだそれだけ。別に植民地って悪いことじゃないじゃん。だって買うか買わないか自由でしょ。」という声が聞こえてきそうですが、結論をいうと「うーん」です。というのは、例えば、200年近く鎖国してきた国と産業革命をしてバリバリ商売をしてきた国では技術力が違いすぎます。その技術力で作られた商品は安くて魅力的な商品ばかりです。なので、そんな商品を見たら「これちょーかわいい。買おう」となるのです。その結果、自分の国で作られたものは、全然売れないことになります。すなわち国内の産業が生まれない。すなわち働く場所がない。すなわち貧乏。そんなポイズンな世の中になってしまうのです。このように技術力のある国はたくさん儲かる。技術力のない国は全然儲からない。弱肉強食です。経済的に優位な国がその技術力の高さをもって、経済的に劣る国を支配する(自国の商品を買わせる)というのが植民地なのです。一度植民地にされたらそこからぬけだすのは大変です。「よーし外国の製品に負けない商品を作るぞ」と思っても最初から同等の商品が作れるわけではありません。同等の商品が作れなければいつまでたってもお客さんは買ってくれないわけで、儲かりません。儲からなければ技術開発に使えるお金もありません。そうしている間にも外国ではどんどん新しい技術が開発されて、どんどん差が開いていく。こういうと「だ・か・ら、植民地の人々が外国の商品を買わなきゃいいじゃん」という声が聞こえてきそうですが、それはその通りです。すいません。ぶっちゃけ、買わなかった問題ないです。なので、かのインドのガンジーさんもイギリスの商品を買うのではなくインド製のものを使おうという運動を始めました(インドはイギリスの植民地だった)。買わなかったら問題ないのです。でもまあこれは大人の問題ですからもちらん「買えよ」という圧力はかなりあります(笑)。また、今問題になっているTPPも日本がアメリカの商品を買わなければすべての問題は片付きます。TPPに反対している人の意見はこうです。アメリカの安い精肉や農作物が日本に入ってくると、日本の農家はつぶれてしまうと。なので、別に日本人がアメリカの精肉や農作物を買わないで日本製の物だけを買えばまったく問題になりません。ただ、やはり買わないとはならないのです。例えば、今あなたが着ている服は中国製ではないでしょうか。単純に、純粋に、バカみたいに日本の経済だけを考えるならば日本製の服を買ったほうがよいはずです。しかし、日本製の服を着ている人なんて稀です。日本製の服なんて高いし、種類は少ないし、買えたものではありません。少し言い過ぎました。すいません。しかし、これが実態なのです。我々は目の前にある安くて魅力的な商品を買ってしまいます。安いほうを買いたいというのは消費者の心理なのです。