そら     13話~最終話~ | ほのぼのりんご日和。

ほのぼのりんご日和。

他愛もない日常の戯言。

8年後・・・・・

ピリピリピリピリピリ・・・・・

「あwはぁ~い」

洗濯物を干していた私は、リビングへ急いだ。

「ちょっと・・・・、星空(せいか)ごめん。貸して?」

「あい」

まだ煩く鳴るケータイを手に取った。

「はい?あっ。お父さん?うん、今日?みんなで?うん。大丈夫!・・・・あっ。でもちょっと遅くなるかも。え?あぁ~。違う違う、ちょっとねぇ~。・・・・うんうん。分かった。7:30ね。OK!じゃあね。」

私は電話を切り、星空に渡した。

あれから、8年が経って私たちは大きく成長した。

20歳になった年に、私と星那は結婚した。

お父さんも御母さんも叔母さんもすんなりOKしてくれた。

そして・・・。私たちには、今日で3歳になる子供がいる。

名前は星空。もう言葉もちょくちょく話せるようになって、もうそろそろ幼稚園にいけるかも・・・。

でも。一つ、星空が大きくなったら心配なこと・・・。

それは今日10月2日・・・。

今日はとっても大切な日。それも、2つの意味を持つ。

それは・・・・、今日が星空の誕生日だって言うこと。

それと・・・・今日が桃の命日だって言うこと。

さっきの電話はお父さんから、星空の誕生日を一緒に祝おうっていう電話だった。

今日はあの悲劇の日だなんてお父さんは知らないから・・・。

私たちはあの日から、この日は絶対にお墓参りに行こうと約束した。

絶対に桃を忘れないために。

「ただいまぁ~」

そうこうしていると星那が帰って来た。

「おかえりぃ~。今日はお父さんたちと星空の誕生日お祝いするってさ~」

私服に着替える星那に私は言った。

「へぇ~。親父となんて珍しいな。でも、その前に墓参り・・・。」

物珍しそうな顔をして、言った。

「さてっと、行くか・・・・。」

桃のお墓に向かう途中、車内でふと星那がこんなことを口にした。

「あのさ、時々思うんだけどさ、星空って桃にしてない?」

私のひざの上に座っている星空をちらっと見つめながら私は言った。

「たしかに・・・。いつも笑ってるところとか、ふいんきがどことなく似てる。」

「だろ!?もしかしたら桃の生まれ変わりとか?」

そう言いながらケラケラ笑っていると、ふとお花の香りがした。

どこか懐かしくてどこか切なくなるこの香り・・・。

桃の匂いだ。

でもなんで今?

そう思ったときだった、反対車線の歩道に桃が立っているような気がした。

「おい?夏空?着いたぞぉ~。」

ぼぉーっとしていたのか気がつくと駐車場にいた。

「あっうん。」

桃・・・。またこの日が来たね。

私はこの日を忘れたことなんてない。

桃が居たから今の私が居て星空が居るんだよ。

ありがとう。

「おじゃましまぁ~す!」

「ああ!やっと来てくれたのね。ささ座って!準備してあるから。」

台所から出てきた御母さんはそう言ってくれた。

「すみません。ありがとうございます!」

私たちはリビングのお父さんのところまで行った。

「おお。お帰り。っとハッピーバースディ星空!」

そう言ってお父さんが出したのはとても大きな箱だった。

「ちょっと!それは大目玉なんだからまだ後で出すんだったでしょ!?」

と慌てて御母さんが出てきた。

ねぇ。お母さん・・・・。

見てる?

私は、もうお母さんになったんだよ。

早いよね・・・時が流れるのは・・・。

お母さんが居なくなって、8年も過ぎたんだよ。

でもね、私は今寂しくないよ。

だって、世界で一番大切な人が私の隣にいるんだもの・・・。

それでね。私も考えた。

小さい頃の私が探していた答え。

私はこれまでいろいろな人に出会ってきた。

その中で私は必死に考えたの。

星那の答えが‘人と人を繋げるように’って言うのなら私にも私の答えがあるの・・・。

空はきっとね・・・。

人が届けられなかった大切な宝物を全員に届けるために大きくなったんだよ。

私はそう思う。

だって私が空に大切な大切な宝物を貰ったから。

そしてこれからも、私たちはまだ成長し続ける。

親として、人として・・・・そしてなにより大切な人を守るために・・・。

でもこれだけは絶対に忘れないでいよう。

私の隣にはいつも星那という、大切な人がいるということを・・・。