そら     1話 | ほのぼのりんご日和。

ほのぼのりんご日和。

他愛もない日常の戯言。

「空ってなんでこんなに大きんだろ~」

「なんでだろうねぇ~^^」

青い、大きな大きな空。

ミーンミーン

あつかましいくらいに鳴くセミ。

立っているだけでじりじりと汗が出てしまう。

そんな暑い暑い   夏。




母はあたしだけを残してあの大きな大きな青い空にいってしまった。



「夏空(なつか)ちゃん?お母さんいなくなっちゃったけど大丈夫だから。ね?」

小さいころからお世話になった叔母さん。

顔も知らない身内の人たち。

近所のお爺ちゃんお婆ちゃん、おじさん、おばさん。


みんな、黒い服に身を包み目から何かを流してる。

私には理解できなかった。

周りの人たちがとゆうものを流している理由が分からなかった。


なんで?どうしてみんなお母さんが死んだことを簡単に終わらせられるの!?

お母さんは・・・・

お母さんは・・・そんなに簡単に忘れていい人じゃないよ!!


気がつけば、私と叔母さんの家族だけになっていた。

「夏空ちゃん?じゃあ帰ろうか」

帰る? 

どこに?  あたしの家なんて何処にもないよ・・・。

「あ。私今日は・・・」

「そっかぁ~。じゃぁ早くお家にお帰り?明日の朝また叔母ちゃんたちくるから。」

「はい」

にっこり微笑み私の言いたいことを理解してくれたよう。

とてもとても優しい叔母さん。  でも今はそんな優しさなんていらない。

あたしを哀れんでるような。

同情されてるような気がしてつらかった。



私は式場からがむしゃらに走って走って、

無意識にも今一番つらくなりそうな場所に来てしまった。

そこは。今日もきれいな景色だった。

「お母さんが死んだのに・・・。なんでこんなに綺麗なの?」

ヘタヘタと足に力が入らなくなって、私はその場に崩れ落ちた。

ただただお母さんの死が悲しかった。

でも涙はでなかった。

私はあの人たちみたいにお母さんのことあんなに簡単に済ませたりしないから。

「お母さん・・・・。」

ゆっくり、ゆっくりと顔を上げて、遠くを眺めた。


お母さんは何処よりここが好きだった。

家の近くの林の中。  一本道を抜けると、一面草原に包まれている。

そして  上を見上げれば・・・

大きくて広い  青い青い空。

まだ私が小さかった頃、ここに来ては口癖のようにお母さんは言っていた。

「お父さんはね。ここでお母さんにプロポーズしてくれたの」

すごくすごく眩しい笑顔で・・・・。

うれしそうにお母さんは言っていた。


なのに・・・。なのに。

あの人は・・・・・

私たちの前から姿を消したんだ。


今でも鮮明に覚えてる。

まだ、私が幼い頃だった。

「あっ、いってらっしゃい」

「あぁ」

その日もいつもとなんら変わらない、普通の日だった。

特別、喧嘩をしていたわけでもないのに・・・・。

突然いなくなった。


今、会ったらまず最初に聞きたい。

「お母さんの何がいけなかったのか。」


まぁ会う気はさらさらないけどね。


「私もお母さんと一緒に逝けばよかったなぁ~」

ポツリと本音が出てしまった。

もうお母さんは戻ってこない。

知ってる。誰よりも知ってるつもりだった。

でもやっぱり・・・・。つらいよ・・・。

「うっ。くっ。」

今にも出てきそうな涙を必死に堪えた。


泣く・・・。

この動作をするとその人と過ごしたすべてが無くなってしまうようで。

この動作をするとその人の存在自体すべてを忘れてしまいそうで。


私にはできなかった。