人間、様々な不快感な症状を呈するわけですが、それが合わさって症候群みたいなものがあって、その原因はこれでみたいな感じに病名が作られみたいな感じだと思っておられるでしょうけど、その後に実際に調べていったら原因が全然違うところにあったり、違うと思っていた病気と同じものであったり、新病名作ってみたけど昔からある病気と変わらなかったり、ただ病名の印象が悪いから病名変えてみたり、ある科でこの病気って病名付いたけど他科の病気と同じだったり、病名付けてみたけどそういう病気じゃなかったり、エビデンスがある無いで原因や病名や治療が変わったり、病気の概念が変わることも多々ある。
その中でこういう病気はどういう病気って、私もそこそこ医師をしていますと、この病気はこういう感じの病気っていう疾病感と申しましょうか、そういうのが変わってきたりしたりまとまったりするわけです。
しかし、そこに各々の世界観、人生観、自然観などが影響して病気の見え方が医師によって変わるなと思ったりします。
生活習慣病と言われるものでも、何かと物質主義的に全て食事に帰結するような考えの医師も多いですし、私のようにそんなことよりも精神も肉体もどう鍛えるかだと思っている医師も少なからずいますし、それによって病気の見え方が変わってくるように思います。
今や科学的と言われると盲信する人が、一般人、医師に限らず多いわけですが、科学的と言われるものでも要素還元論的メカニズムを解明してそれを何とかしようと原因治療するってのと、こういう疾病分類でこういう治療してみたらどういう統計的な結果が出たかというものの間に、不一致が見られることも多々あります。
メカニズム的に効果があるはずなのに実際にそうしてみたら統計的に逆効果だったってのも少なからず見られる事象です。
で、そういう情報を捉えて個々の医師がそれぞれに自分の専門の病気の疾病感のようなものを持っていると思いますが(教科書通り覚えて終わっている医師も多いかもしれませんが)、私も年齢的にはベテランに差し掛かっているかもしれませんが、何となくそういうものが完成してくる時期なのかなと思いました。
保険診療上病名は大切なのですが、病名ではない疾病の本態みたいなところのイメージのようなものが完成していきているという感じですね。