ファミマの たかが1円、されど1円_フォードが教えた「1円を削り出す企業」の価値
ファミリーマートが、おにぎり4品を11円値下げします。
ローソンが10円の値下げを打ち出すなか、ファミリーマートは11円です。
「たった11円」と思うかもしれません。
しかし、物価高が続き、食品の値上げが相次いでいる状況では、「値上げしない」だけでもなく、「値下げする」というニュースそのものに意味があります。
しかも、おにぎりの値下げは、飲料や惣菜などの「ついで買い」につながる可能性もあります。
ただ、この11円の値下げを、単純に「企業努力」とだけ捉えるのは少し違うように思います。
むしろ考えてみたいのは、企業が「1円を削る」とは、一体どういうことなのか、ということです。
フォードが追求した「1円を削る」という思想
そのことを考える上で参考になるのが、ヘンリー・フォードです。
フォードは、作業の標準化や単能工化、そして製品そのものの標準化を進めました。
その結果として実現したのが、大量生産によるコストダウンです。
自動車を一台ずつ職人がつくるのではなく、工程を分解し、標準化し、流れ作業によって大量に生産する。
そうすることで製品一台あたりのコストを下げ、価格を引き下げる。
そして価格が下がることで、それまで富裕層の贅沢品だった自動車を大衆市場へ広げていきました。
フォードが示したのは、単に「安く売る」ということではありません。
安く売るために、企業の生産そのものを変える。⚡⚡
その考え方です。
今回のファミリーマートのおにぎり11円値下げを見ても、ここにはまだ改善の余地があるのではないかと思います。
今回の値下げは、原材料費が一時的に落ち着いていることや、販売促進を目的とした側面が強いと考えられます。
そのため、これだけで本質的なコスト構造が変わったとは言い切れません。
おにぎりの「1円」は、どこから生み出せるのか
では、本当に1円、あるいは10円を継続的に削っていくには、何が必要なのでしょうか。
おにぎりを一つつくるだけでも、さまざまな工程があります。
米を炊く。
冷却する。
具材を充填する。
海苔を巻く。
そして、それを店舗まで配送する。
こうした製造から物流までの一連の工程を、さらに自動化し、互いの工程を同期させていく。
そこにコスト削減の余地があります。
さらに、売れ筋となる定番商品については、製造工程を極限まで標準化する。
専用ラインを設け、その稼働効率を最大化する。
そうすれば、おにぎり1個あたりの製造原価をさらに引き下げられる可能性があります。
フォードが自動車で行ったことを、そのまま同じ形で適用するわけではありませんが、「標準化し、効率を高め、大量生産によって1個あたりのコストを下げる」という発想そのものは、現在のおにぎりにもつながっています。
それでも、私は「11円」に希望を見る
とはいえ、今回の11円値下げを、単なる販促策として片づけるのも違うと思っています。
私が注目したいのは、10円ではなく11円だったことです。
ローソンが10円値下げするなかで、ファミリーマートは11円下げる。
おにぎりが200円程度の商品だとすれば、1円は小さな金額ではありません。
そして、その1円を削るためには、企業の側にも何らかの判断や工夫が必要になります。
もちろん、企業が1円を削るのは、慈善事業ではありません。
自社の利益を確保するためでもあります。
しかし、その結果として消費者が1円安く買えるのであれば、そこには社会に対する一つの恩恵があります。
企業が利益を追求する。
そのためにコストを下げる。
そして、その成果の一部が価格の引き下げとして消費者に戻ってくる。
この循環には、意味があります。
だから私は、この「1円の努力」を賞賛したいと思います。
「たかが1円」を、企業はどう削るのか
もちろん、11円の値下げだけを見て、「ファミリーマートの生産システムがフォード的に変革された」と考えるべきではありません。
そこまでのことは、このニュースからは分かりません。
むしろ今回のニュースをきっかけに考えてみたいのは、企業にとって「1円を削る」という行為が、本来どれほど大きな意味を持つのかということです。⚡⚡
1円を削るためには、原材料を見直すこともできる。
製造工程を変えることもできる。
設備の稼働率を高めることもできる。
物流を効率化することもできる。
そして、それらを積み重ねた先に、商品1個あたりのコストが下がっていきます。
フォードが大量生産によって自動車の価格を引き下げたように、企業が本当に価格を下げようとするなら、値札だけを動かすのではなく、その背後にある生産と流通の仕組みそのものを変えていく必要があります。
だからこそ、「たかが1円、されど1円」なのです。⚡⚡
11円の値下げは小さなニュースに見えるかもしれません。
しかし、その11円を継続的に生み出せる企業になれるかどうか。⚡⚡
そこに、企業の本当の競争力が現れるのではないでしょうか。
あとがき
値下げのニュースを見ると、私たちは「何円安くなったか」に目を向けます。
でも、その1円がどこから生まれたのかを考えてみると、企業の姿が少し違って見えてきます。
「1円を削る」。
それは、単なる値引きではなく、企業が自らの仕事の仕組みをどこまで磨けるかという問題でもあります。
ファミリーマートの11円値下げを見ながら、そんなことを考えました。

