息つぎがうまくできない。終演。 | 劇団鋼鉄村松ブログ

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終わりましたー。

芝居終わると失恋にも似た鬱になります。さくえんの鋼鉄村松No.4バブルムラマツです。1日寝っ転がって天井のシミを数えたりエゴサしたりしてました。部下ども、お客様、本当にありがとうございました!

この芝居は三年前の黄金のコメディフェスティバル、mark(X)の時、今回主人公を勤めた草野くん演ずる正義のヒーロー「フリーダムV」の台詞「私もまたマークXの一人だからだ。」と言う台詞に「愛の告白みたいに告げて」って演出をつけた時に始まりました。
草野くん、いい感じに少しの含羞と、まっすぐな意志を含んだ素敵な演技をしてくれたんですね。

ああ、こいつ主役でラブストーリーやりたいな。

そんな風にふと思いました。
主人公は若ハゲであることにコンプレックスをもって恋愛に踏み出せない男。
じゃあヒロインはそんな男に踏み込んでいく女じゃないと。よし、キャバ嬢にしよう。ビジネスで踏み込んでくれるはず。
キャバ嬢にはヒモがいるよな。こいつラスボスで。

だいたいこういうの、思いついたはいいけど実現するのにはいろいろハードルがあり、三年たってしまいました。

三年の間に構想は膨らんで、主人公に恋してるけど絶対にそれを見せなくて怖いだけの女上司、とか。
ちょっと気持ち悪いくらいに仲のいい弟、とか。
ハゲ仲間だけど同じキャバ嬢に恋する課長(中ボス、これボスムラマツにやらせよう。)とか。
恋する主人公の気持ち悪さにツッコミを入れる友人、とか。
過去のあるキャバクラ店長、主人公に味方してくれるキャバ嬢、ヒロインと仲のいいキャバ嬢、そんなキャラクターたちが生まれてきました。

もっともこういう構想段階って俺、楽しくて仕方がないんですが、実際書くのは苦手で。。。
シンプルなラブストーリーにすれば簡単かなと思っていた台本なんですが、現実は非情である、全然難しかったです。
でも素敵な役者さんが集まり、ながらく俺の脳内だけで蠢いていた物語は舞台に立ちました。




みんないい人な優しい世界、という感想をよくいただきました。
そういう空間を目指しましたけど、よく考えるとこの登場人物たち、そういい人でもないんですよね。
ヒロインのハルカはヒモカレシがいるのにただただ自分に恋してくれるタツオとの関係を楽しんだあげく、一度はフッちゃいますし。
シュウちゃんもラストに少しだけいいところも見せますが、それ以外も多分これからもずっとクズです。
リョウタが文句いいつつタツオを助けるのも実は恋してるマユコに会うためですし。
みんなけっこう自分のために他人を傷つけて生きてます。
タツオなんてハルカを手に入れるため、誠実であろうとする自分を捨てます。

でもなー、そういう打算や、不実さや、妥協や、卑怯さや、臆病さを、笑って愛してもらえたらなと。そこがコメディの素敵な所だと思うんですよね。

タツオとハルカは一瞬盛り上がるけど、お互いの胸の穴がうまったころ、なんとなく別れそうな気がします。でもふっと相手のことを思い出してニヤニヤしそうな気がします。

そんな風にこの芝居を思い出していただけたらと。

ご来場ありがとうございました!