『リーダーシップの重要な資質のうちの1つは、鳥瞰できる力と、ストーリーテリングである。』
と、誰かの本を引用したように書いてみたけれど、最近すごく思うこと。
これは、シンガポールという多様な価値観の人間の中で働いているから余計重要になるのかもしれないが、このことを痛感する。
何かというと、現在の仕事の状況は、
周りにチームがいるのだが、ほとんどの人間が、1つの国の1つのブランド(事業部)で働いているのではなく、様々な仕事を掛け持ちでしている。
多くの場合は、5カ国分の財務を見ていたり、2つのブランド*2つの組織などという掛け持ちである。
そうなると、チームの中に細かなデータによる共通認識というか、共通知識をはぐくむことが難しい。
そして、彼らは、膨大な情報を毎日にように受ける中で、細かい情報を記憶し、処理してくことなど
不可能に近くなってくる。
更に言うと、「日本」にいる人間との仕事は顔合わせではできない。
細かい議論をし尽くして物事を作り上げていく。などというやり方は不可能である。
そうなってきたときに、
全員が共通してもてるのがVision。
Visionは、「目標」という風に捉えることもできるが、同時に、元をたどると、「視覚」である。
『「目で見える」「目標」とその筋道(=戦略)を作ること』が、リーダーの仕事である。
何かビジネスの共通理解の為に、説明を試みるとき、
現状はxxで、xx費がxxで、だから、xxなんです。
という説明は、説明ではあるけれども、Visionではない。
話をしているうちに、視聴者が、絵を想像でき、それを腑に落ちるまでに簡単に説明できなければならない。
そういう「絵で想像できる説明」という条件を加えていくと、実は「鳥瞰」の重要性がでてくる。
世の中の地形を一番よく理解しようとしたら、地上にいてはできない。
鳥にならなければならない。もしくは、宇宙に衛星を飛ばして、地球を観察しなければならない。
そうしないと、「今自分がどこにたっていて、どこにいきたいのか」という目標という意味でのVisionが見えないからである。
天動説を説明する場合に、プトレマイオスが、
「南中高度がxxxで、影がこうやって1日に1周移動して、式にするとxxxxxxで、だから、地球は太陽を回っているという仮説がある。」
という説明は、素晴らしいが、誰も理解できないし、共感もしなければ、覚えない。
ではなくて、まるで宇宙にいるかのように、惑星の図を書いて、
「地球はこうなっているんだ!!!」
という鳥瞰ができなければ、人は惹きつけれれない。
宗教などというのはまさにそのもの。
イタリアのサン・ピエトロ大聖堂に天国を書いて、人々にVisionをみせた。
まるで脅迫まがいの、「天国と地獄が実際にこうあるんだよ」って。
「いいことをすると、こうなって、悪いことをするとこうなるんだよ。」と。
だから、人は動く。そして、素晴らしいVisionには、人を戦略通り動かす力がある。
だって、天国絵は、人々を正しい行為をさせる方向性に動かすだろうから。
まだまだ、自分のリーダーシップを完成させていくためには、磨きをかけなければならないなと思う。
拙い英語であっても、周囲が目をキラキラさせて、働ける状況を作るには、
「絵」を書き続けなければならない。