消費者志向のジレンマ(利益志向・内部プロセス志向・消費者志向) | 色塾BLOG-

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日々のビジネス・社会に対する思いや、起業に向けた考え、読書に対する感想など様々な話題を、海外で働くマーケターとしての第3者の視点から展開。

ちょっと気合を入れて、自分の考えをまとめてみる。

利益・内部・消費者というフレームワークを使って。


目次

1.利益志向に関して

2.内部プロセス志向に関して

3.消費者志向に関して

4.消費者志向のジレンマ



結論からいうと、全て大事だが、経営者およびプロジェクトリーダーにとって欠かしてはならないものは、消費者志向であるということ。なぜこのような考えに至ったのか・・・・・私の個人的な話をしながら説明しようとしてみることにした。


1.利益志向に関して


僕は、たぶんもともと商売気の強い、商人タイプだと思う。

父親の家系も母親の家系ももともと商人である。

だから、「売って、かせいでなんぼやろ!」という強い思いがある。

これは利益志向かもしれない。


特にプロジェクトリーダーの立場からいうと、内部にいると社長から「ボトムラインを伸ばせ!!」という号令が掛かり、「プロフィットギャップを埋めるぞ」という「利益志向」に偏っていってしまうのだが、実はエクセキューションに責務を負わせてはいけない。戦略で解決するべき問題だからだ。


そのロジックは簡単なことで、僕らのビジネスモデルでいうと、ドラッグストアに物を売って詰め込んだところで、急に最終購買者が買うわけはなく、店頭在庫がたまるだけである。


故に、短期的利益というメリットのために、長期的利益を犠牲にするだけであり、さらにいうと、ドラッグからの心象は悪くなるばかりであり、これではゼロサムゲームであるだけでなく、ビジネスの大きな長期的ネガティブを起こす。


もちろん利益は大事であり、利益率を確保することは会社を存続する上で大事であることを否定するつもりは全くない。しかし、その責務はそもそものビジネスモデルに負わせるべきものであり、経営戦略の問題である。


経営者が、年度末になって、このようなことばかりを叫び始めたときは、もちろん聞いて対応することに全力は尽くす必要はあるが、根本的な解決はエクセキューションでは難しいことを肝に命じて置くべきである。


もちろん、経営者は、株主からのプレッシャー、ほかからのプレッシャーはかなり受けるのかもしれない。


しかし、その原因は、戦略のミスであり、リーダーの責任である。だからこそ、リーダーには戦略思考が必要なのだ。長期的な視点での方向性の決断をリーダーは負うべきであり、それが失敗すればビジネスは死ぬ。



2.内部プロセス志向について


もちろんプロジェクトを進めていく上で、内部プロセスを管理することは限りなく重要である。

内部のプロセスを通さず、CPSを守らずしたら、結局なにも達成できないことになる。


しかし、やることが沢山あったりすると、もう内部プロセス志向の罠に陥ってしまうことになりやすい。

なぜなら、「如何にプロジェクトを廻すか」に専念させられることになるからだ。


そのために、月曜日から金曜日までミーティングづくしの内部調整ばかりをするはめになり、カスタマー・最終購買者のことなど考える余裕ができなくなってくる。


そうなってくると、良い結果など絶対にでないのだ。


それは当然のこと。

この罠にはまってくると、消費者やカスタマーのことを考えてない人間が、周りの経験や勘に頼ってプロジェクトを廻すはめになる。周囲から意見をたくさん聞くが、その他者からの経験や勘は、そうはいっても過去の例から出て来たものであるし、そもそも視点がばらばらである。故に、それらの数々の視点を調整するだけになってしまうことに陥るので、結果はそううまくはいかないはずである。


さらにいうと、このような進め方を行っていると、プロジェクトリーダーとしての位置も危うくなるリスクを孕んでいる。 なぜなら、内部志向とは、先に話したように「他人の意見をうま~く調整する志向」の言い換えであり、プロジェクトの方向性や意思決定を「他人の勘による民主主義的決定」に委ねてしまうことになるから、プロジェクトに対する自分の「勘」や「成功させるぞという情熱」が起こりにくくなる。


そうすると、「あなたは何がしたいの?」と質問され、プロジェクトは進まなくなるわけだ。

そうなってくると、もうリーダーとしての信頼はなくなり、プロジェクトは破綻する。



3.消費者志向に関して


消費者志向は大事である。最終購買者に物を買ってもらうことで会社が成り立っている以上、如何に彼らを満足させられるかに全ては掛かっているといっても過言ではない。ものが売れなければ利益を生むこともままならないし、プロジェクトをいくら廻しても失敗するだけである。会社は簡単に破産の道をたどることになる。


だから、消費者を知ることは、ものを売るための大前提である。

こんなことは、すごく単純なことなのに、なぜ忘れてしまうのか。


4.消費者志向のジレンマ


この消費者志向は、あまのじゃくな性質を持っている。

というのは、最も大事であることだが、最も忘れやすく、難しいことかもしれないからだ。


その理由は、3つある。


1.消費者志向になる余裕をもつのが難しい。

私はいくらものを売るといっても本社機能に属するサラリーマンであり、月曜日から金曜日まで会社に拘束される。週の5/7は、「利益だ!」「CPSだ!」という内部の言葉によるプレッシャーを受ける運命にある。そして、2/5は溜まったストレスを発散するために、仕事のことを忘れたくなる。そうすると、消費者のことなど考える時間はなくなるかもしれない。


2.消費者とのコンタクトは限られている。

消費者(ターゲット)やカスタマーとのコンタクトはかなり限られているかもしれない。直接ターゲットである人に会うためには、リサーチをしなければならなく、かなりの費用がかかりし、カスタマーとのコンタクトもなかなかできない。そうすると、もう消費者志向には「コンタクトのしにくさ」という壁が存在するかもしれない。


3.消費者志向は定性的であるからである。

利益やCPSというものは、数字や表で示せるものであり、それは数的に処理が可能である。しかし、消費者やカスタマーというのは、幾万人いるわけであり、その意見はそれぞれに異なる。その定性的であり、ばらばらなものを、コンセプト化して把握するという手段しかないが、その理解はなかなか難しい。


4.消費者志向は証明および説得が難しい。

これは、1-3の結末ということになってしまうが、チームやマネジメントは内部の庶務に拘束されているため、消費者とはなかなか会う時間がない。更に、我々は消費者に関して伝えるべき内容は、コンセプト化された質的情報であり、説得が難しい。量的な証拠をとるためにはまた莫大な予算がかかることになるため、全てにおいて消費者という観点で、完全に証明および説得することは極めて難しいのだ。


このように、消費者志向というのは最も大事でありながら、もっとも難しい性質を孕んでいるかもしれない。

この壁をクリアすることが、僕の役目であり、その解決策を現在学ばせてもらっているところである。


「経営は消費者中心であるべきである」という理論は、かなり的を得ているかもしれないという結論を得て、

今日は終わりにしてみる。